進展するトルコ政府のデジタル化対応

(トルコ)

イスタンブール発

2019年05月31日

ルフサル・ペキジャン貿易相は、3月19日に発表した「デジタル時代のトルコの貿易戦略」において、貿易省によるデジタル貿易に対する政策やスタンスを明らかにした。

周辺国で先行するトルコ政府のデジタル化

ペキジャン貿易相は、情報技術の急速な進化により進展する取引手段のデジタル化に対応した技術革新や法整備を早急に整備する必要があるとした。

また、デジタル化は、ビジネス、消費者、政府に「機会とリスクの両方をもたらす」とし、特に電子商取引(EC)の監視と規制は政府にとって不可欠な課題とした。このため、トルコ貿易省では、国内の商業インフラから通関手続きまで、デジタル化を通じた円滑化を、非常に重要な政策課題に位置付けている。

既にトルコでは、ATR移動証明書や原産地証明書、リスクベース貿易管理システム(TAREKS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)などの多くの通関手続きの文書化をデジタル・プラットフォームへ移管し始めている。しかし、通関手続きは国内だけでなく、関係国による認証など複雑な調整が必要で、EUなど国境を越えた他国との協力、安全保障面での配慮などが優先事項となっている。このようなことから、税関などでは、いまだに書類による業務が中心とされており、通関手続きのデジタル化には課題も多い。

国内商取引の電子化の動きでは、「MERSIS」(オンライン登録)ネットワークを導入することで、商登録から一連の法的作業に至るまで、あらゆる種類の会社の手続きを電子的に監視・管理できるようになっている。このシステムは、既に政府のe-government外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますポータルに統合されており、小売り登録情報システム(PERBİS)も2019年内に完成し、統合されることが見込まれている。

トルコは、新しい先進的な技術や制度を柔軟に取り入れる傾向があり、電子化の動きは貿易関係だけにとどまらず、滞在許可申請などさまざまな分野でも取り組みが進められている。

(中島敏博)

(トルコ)

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