入国時の所持品検査を厳格化、ビザを失効させ入国拒否も

(オーストラリア)

シドニー発

2019年05月08日

オーストラリア内務省は4月17日、移民法を改正し、オーストラリア入国時に税関に虚偽の申告をして持ち込み禁止物品を所持する渡航者に対し、その場でビザを失効させ、オーストラリアへの入国を禁止することができる、とした。また、この新規則の下でビザが失効された場合、特別な理由がない限り、その後3年間にわたって新たなビザは発給されない。

オーストラリアは1つの大陸で一国を成していることから、その環境および固有の動植物の保護や人々の健康、農畜産業を守るため、厳格なバイオセキュリティー法および輸入規則による厳しい検疫措置を取っている。従来、入国時に持ち込み禁止物品の所持が発覚した場合、没収や罰金が科されていた。

今回の法改正に当たり内務省は、アフリカからの渡航者が持ち込もうとした肉製品から「アフリカ豚コレラ」と「口蹄疫(こうていえき)」の病原体が発見され、「それらがもしオーストラリア国内に持ち込まれていた場合、10年間にわたって500億オーストラリア・ドル(約3兆9,000億円、豪ドル、1豪ドル=約78円)の経済的損失をもたらした可能性がある」という調査結果を公表している。

オーストラリアでは「アフリカ豚コレラ」は1872年に撲滅しており、「口蹄疫」についてはかつて一度も発生していないことから、検疫措置のより一層の強化の必要性を説明している。

今後は、オーストラリアの空港や港で検疫を行う責任者が、ビザを失効させ入国を拒否できる権限を持つことになる。もし禁止物品か不明な場合は、入国時に申告していれば罪に問われることはない。持ち込み禁止物品については、在日オーストラリア大使館のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(長島麻子)

(オーストラリア)

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