ドイツ企業、ハンガリーで順調に投資活動を継続

(ハンガリー)

ブダペスト発

2019年05月01日

在ハンガリーのドイツ商工会議所(以下、同商工会議所)は4月15日、ハンガリーのビジネス環境調査の結果を発表した。調査期間は2月1日~3月8日で、同商工会議所会員企業の232社から回答があった。ハンガリー国内には約2,500社のドイツ系企業があり、同商工会議所はハンガリー政府と共同でビジネス環境の見直しを行っている。

調査では、回答企業の90%が自社ビジネスの現状に満足し、94%がハンガリー経済に満足しているとした。一方で、回答企業は2019年のハンガリーの経済成長率を3%と見込み、5%を記録した2018年に比べ慎重な姿勢を見せた。同国を投資先として再度選ぶかという問いには、82%が選ぶと答えたものの、2018年の84%から若干下降した。同商工会議所代表は「世界経済の後退につながる多くの不安要素がある」としながらも、「依然として多くの企業が人員の増強や追加投資を検討している」とも付け加えた。

ハンガリー政府の経済政策に対する評価については、全体としてわずかながら改善が見られた。特に税負担と税務の項目で、「満足している」が「不満だ」を上回り、過去数年で最大の改善を見せている。税制に関する評価は、ドイツ商工会議所が中・東欧やバルカン諸国計15カ国で実施する同じ調査での地域平均を上回るものだ。

他方、回答企業の68%が熟練労働者を満足に確保できず、労働コストの上昇に直面しているとし、56%が労働力不足のため、生産やサービスの提供に支障が出たと指摘している。これに対し、調査報告の記者会見に出席したバルガ・ミハーイ財務相は「現在失業率は3.6%だが、女性のパートタイムや在宅勤務の拡大、年金生活者の活用、公共サービス従事者の民間部門への移転などで、新たな労働力創出の余地はある」とした。

調査では初めて、英国のEU離脱(ブレグジット)問題に関する質問が設けられた。それによると、およそ6割の企業が自社への影響はないと回答した一方で、大きな影響のある分野として、コスト増加(物流、関税、認証やライセンス)やサプライチェーンの混乱を挙げた(図参照)。

図 ブレグジットのビジネスへの影響(複数回答可)

(バラジ・ラウラ、本田雅英)

(ハンガリー)

ビジネス短信 9dcffa84bb426bb0