フリーゾーンに自動車部品工場が相次いで建設、雇用創出を拡大へ

(モロッコ)

ラバト発

2019年05月20日

5月7日のモロッコの現地報道によると、北部のタンジェ市でフリーゾーンを展開するタンジェ地中海特別庁(TMSA)は、TMSAが管轄するタンジェ・オートモーティブシティー(TAC、注1)で、新しく15件の工場建設が進められており、2019年末には工事が終了することを明らかにした。

タンジェ市のフリーゾーンに自動車関連メーカーの工場建設が続く

5月3日に工場を開設したフランス自動車関連メーカーのヴァレオ(2019年5月15日記事参照)に続き、同社への供給元である自動車部品メーカー5社が工場の建設を開始した。

日系企業としては、ドアラッチなど自動車部品を生産する三井金属アクトが、4月から工場建設を開始した。同社にとってアフリカ初の工場となり、敷地面積は2万平方メートル、投資額は1億3,700万ディルハム(約15億700万円、DH、1DH=約11円)。当初は100人を雇用し、その後300人まで増やす予定だ。

工業用フォーム資材を生産するルーマニアのメバント・ペルラは、1万5,000平方メートルの工場建設を開始し、最初の投資額は7,700万DHで、約100人を雇用する予定。製品はルノー・タンジェMED(注2)に拠点を構えるルノーや、TAC内の部品メーカーに納品される予定だ。

そのほか、ドイツやトルコなど、各国企業のTACでの工場建設が進んでいる。

タンジェ港から25キロのTACには、既に65億DHが投資され、7,000人の雇用が創出されている。TMSAによると、現在の敷地面積300ヘクタールを拡大するため、さらに200ヘクタールの用地を整備し、500ヘクタールに及ぶモロッコ最大規模のフリーゾーンになる予定だ。

自動車産業はモロッコの雇用創出に貢献

モロッコにおいて自動車産業は最大の雇用創出産業で、当地メディアによると、2014~2018年の間で11万6,611人の新規雇用を創出し、雇用創出全体の28.8%を占めた。そのほかでは、テキスタイル(19.6%)、オフショアリング(17%)、農業食品(15.6%)、冶金(やきん)・機械産業(5%)が続く。

モロッコ政府は、2014~2020年に50万人の雇用創出を目標としており、2018年末で40万5,496人の雇用を創出し、目標の81%を達成した。自動車産業を中心に、2019年中にタンジェで26、ケニトラでは22の工場が新たに稼働する予定だ。ムーレイ・ハフィド・エルアラミ産業・貿易・投資・デジタル経済相は、雇用創出目標の2019年中の達成を見込む。

(注1)タンジェ・オートモーティブシティー(TAC)は、2014年に稼働した約300ヘクタールの敷地を持つ自動車関連製造業に特化したフリーゾーン。

(注2)ルノー・タンジェMEDは、2012年に稼働した約300ヘクタールの敷地を有するルノー=日産アライアンス専用のフリーゾーン。

(本田貴子)

(モロッコ)

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