上位財閥への富の集中は変わらず

(韓国)

中国北アジア課

2019年05月17日

韓国の公正取引委員会は5月15日、34の企業集団(いわゆる財閥)を「相互出資制限企業集団」に指定した(添付資料参照)。公取委では1987年から毎年、一定規模以上の資産を持つ企業集団を指定し、発表している。

指定基準は総資産10兆ウォン(約9,200億円、1ウォン=約0.092円)以上。

「相互出資制限企業集団」に指定されると、(1)企業集団内の内部取引や株式保有状況など各種の公示義務、(2)企業集団の総帥に対する不当な利益提供の禁止、(3)集団内の相互出資・新規循環出資の禁止、(4)集団内での債務保証の禁止、(5)金融保険企業への議決権行使の制限が課される(注)。

「相互出資制限企業集団」に指定された34企業集団(系列企業数1,421社)は表のとおり。2018年から2企業集団増加し、インターネットサービス大手のカカオが新たに指定された。

財閥改革を主要政策の1つに掲げている文在寅(ムン・ジェイン)政権だが、2017年5月の発足時から企業集団の数と顔ぶれに変化はほとんど見られない。34集団の総資産額の合計に占めるサムスン、現代自動車など上位5集団が占める割合は60%と、上位集団への富の集中は変わっていないことを裏付けた格好だ。

(注)公正取引委員会では、59企業集団を「公示対象企業集団」に指定した。指定基準は総資産5兆ウォン以上で、このうち10兆ウォン以上の企業集団が「相互出資制限企業集団」に指定され、本文中の(1)から(5)の義務を課される。総資産5兆ウォン以上10兆ウォン未満の企業集団には、(1)各種の公示義務、(2)グループ総帥に対する不当な利益提供の禁止の2点だけが義務となる。

(原実、友田大介)

(韓国)

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