原子力発電所建設に向け、ロスアトムとの協力活発化

(ウズベキスタン、ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年05月21日

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は5月15日、ロシアの国営原子力会社ロスアトムのアレクセイ・リハチョフ社長と会談し、平和的原子力利用分野での協力・発展に向けた両国間の動きに満足の意を表明した。原子力発電所建設に向けた両国間の活発な動きが継続している。

リハチョフ社長は5月15~17日に開催された国際会議「ウズベキスタンの石油とガス(OGU 2019)」、国際展示会「パワーウズベキスタン2019」に合わせ首都タシケントに来訪した。5月15日にはウズベキスタンのエネルギー省とロスアトムの間で、2019~2020年のウズベキスタンでの原子力発電所建設の基礎的活動に関する工程表(ロードマップ)が署名された。建設場所の技術的選定は終了しており(注1)、第2段階である環境影響評価や国際基準に基づく技術仕様の準備などに移行する。

2017年12月末にウズベキスタンとロシア両政府間で原子力の平和利用分野での協力に関する協定が締結されて以来、ウズベキスタン側は原子力発電所建設へ着々と体制を整えている。ミルジヨエフ大統領は2018年6月の中国・北京でのプーチン大統領との会談で建設への協力を要請(2018年6月14日記事参照)。2018年7月に閣僚会議付属(注2)原子力エネルギー発展庁(ウズアトム)を創設し、同年9月にはモスクワで協力協定を締結した。同10月のプーチン大統領のウズベキスタン訪問時に建設場所の選定作業が開始され、建設事業費は110億ドルと見積もられた。2月7日に大統領決定第4165号「2019~2029年のウズベキスタン共和国での原子力エネルギー発展構想」(注3)が発表され、2030年時点での電力需要量に対応する第3世代+の原子炉2基(各1.2ギガワット、合計2.4ギガワット)を中心とした建設計画が公式発表された。

このコンセプトでは、建設の工期は、a.建設場所の選定と建設許認可手続き(2019~2020年)、b.原子力発電所と周辺インフラの設計(2020~2022年)、c.建設工事と運用開始(2022~2030年)の3つに分かれる。原子力発電所と外部インフラ施設の建設、人材育成、原子力科学振興などの財源は、政府予算、原子力エネルギー発展基金(ウズアトムが管轄)、ロシア政府による融資、民間投資などで補う予定だ。

ロスアトムは5月15日、タシケントに無料施設「原子力技術情報センター」をオープンさせた。原子力発電所の機能などを広く周知することで、地元住民の理解を得ることを目的としている。

(注1)冷却水確保などの観点から、ウズベキスタン北西部ナボイ州の湖近辺が想定されている。

(注2)2月1日に閣僚会議からエネルギー省に移管されている。

(注3)同構想では、原子力発電所建設の経済的利点を「60年を超える長期運転と生み出された電力価格の安定性を保障するもの」と記載している。

(高橋淳)

(ウズベキスタン、ロシア)

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