中ロ首脳、原子力などエネルギー分野での協力を確認

(ロシア、中国、ウズベキスタン、CIS)

欧州ロシアCIS課

2018年06月14日

ロシアのプーチン大統領は6月8~10日、上海協力機構サミット出席のため中国を訪問し、習近平国家主席と北京で会談し、原子力分野をはじめ多分野での協力推進を確認した。また、同機構加盟国のウズベキスタンとタジキスタン、オブザーバー参加のイランとモンゴルの各国首脳との個別会談を青島で行った。

6月8日に行われた習国家主席との会談後の会見で、プーチン大統領は「両国間協力のキーとなる分野はエネルギー」と発言。ロシア極東(サハリン州)から中国東北部へ輸出する天然ガスについて数量などで合意に至ったこと、西シベリアの天然ガスを中国へ輸送するガスパイプライン「シベリアの力」の敷設工事が予定どおり進んでいることなどを明らかにした。

原子力分野では、ロスアトムと中国国家エネルギー局が両国間で過去最大規模の36億2,000万ドル(注1)の原子炉建設案件を含む協力枠組み協定を締結した。協力事業には、a.江蘇省・田湾原子力発電所での加圧水型原子炉2基増設(運用開始時期:2026~2027年)、b.遼寧省・徐大堡原子力発電所での同型原子炉2基増設(2028年)、c.中国核工業集団(CNNC)による高速実証炉事業での提携、d.中国の月探査事業向け部品供給、の4つが含まれる。

このほか経済では、物流や電子商取引分野などでの協力推進に合意した。ロシアが主導するユーラシア経済連合(EEU)と中国の地域間協力については、2018年5月17日にカザフスタンのアスタナで調印された貿易経済協力協定(2018年5月18日記事参照)に沿って進めていくことが確認された。また、プーチン大統領は2018年9月にウラジオストクで開催される予定の第4回東方経済フォーラムに習国家主席を招待した。

6月9日には、プーチン大統領はウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領と会談した。プーチン大統領は2018年秋に同国を訪問する予定であることを述べたほか、ミルジヨエフ大統領はプーチン大統領に対し、同国政府とロスアトムが進める原子力発電所の建設(注2)について支援を要請した。

(注1)CNNC子会社の中国核能電力(CNNP)の発表による。

(注2)2017年12月に中央アジアで初めてとなる原子力発電所の建設に両者が合意。ロスアトムのアレクセイ・リハチョフ社長は5月30日、建設予定地についてカザフスタンとの国境に近いナボイ州をウズベキスタン側から提案されていることを明らかにした。

(高橋淳、市谷恵子)

(ロシア、中国、ウズベキスタン、CIS)

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