大統領選、公式結果発表に反発する一部デモ隊が過激化

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年05月22日

インドネシア選挙管理委員会(KPU)は5月21日未明、先月行われた大統領選挙の公式結果として、ジョコ・ウィドド氏の得票率55.5%(8,560万7,362票)、プラボウォ・スビアント氏の得票率44.5%(6,865万239票)と発表した(表1、表2参照)。これに対して、プラボウォ氏は同日昼、選挙プロセスに不正があったとして、公式結果を受け入れず、憲法裁判所に提訴する方針を表明した。22日未明には、一部地域でプラボウォ支持者によるデモ隊と治安部隊が衝突した。

表1 大統領選挙の開票結果(5月21日 KPU発表)
表2 総選挙の開票結果(5月21日 KPU発表)

KPUの発表は、選挙法における発表期限である5月22日とみられていたが、急きょ前日未明に発表した。22日を狙ったテロ計画が発覚するなど、治安上の懸念が背景にあり、中央ジャカルタの選挙監視庁(Bawaslu)やKPU前には治安部隊が出動して厳重警戒に当たった。発表を受けて、21日午後から政府機関があるジャカルタの中心部タムリン通りのサリナデパート前交差点は、抗議デモを行うプラボウォ氏支持者があふれた。

22日未明には一部のデモ隊と治安部隊が衝突。西ジャカルタ方面に向かった一部のデモ隊は、投石や車に放火するなどし、治安部隊も催涙弾などで鎮静化を図った。こうした事態は22日朝までに収束されたが、22日時点でサリナデパート前は依然として交通禁止の厳重警戒態勢にある。インドネシアの選挙法ではKPUによる結果発表後3日以内に憲法裁判所に不服申し立てがない限り、選挙結果が決定する。

(山城武伸)

(インドネシア)

ビジネス短信 8aa50846df73fb41