6月1日からAEO相互承認実施、日中税関が利用方法など公表

(中国、日本)

北京発

2019年05月09日

中国(税関総署)と日本(財務省関税局)の間で2018年10月26日に合意したAEO(注1、認定事業者)相互承認が6月1日から正式実施となり、日中両国の税関が利用方法などを公表した。

日中間でAEO相互承認が実施されることで、両国のAEO輸出入者の貨物に対し、審査・検査の軽減、検査の迅速化、トラブル発生時の日中税関間での連絡窓口の設置、物流の混乱時における迅速な通関などの便益が見込める。

指定コードを輸出入申告時に入力することで便益の享受可能

4月に発表された日本税関のリーフレットPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)中国税関の公告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますには、AEO相互承認の便益を享受するための方法が示されている。

それによると、日本のAEO認定輸出入者は、日中相互承認用コードを日本の税関のAEO制度担当に確認して中国の取引相手に伝え、中国の輸出入者がそのコードを中国での輸出入申告の際に入力することで便益を享受できるとしている。また、中国での通関時にトラブルが生じた際は、その事案の概要(注2)を承認税関のAEO制度担当に連絡することとされている。

中国のAEO輸出入者と取引を行う日本の輸出入者または通関業者は、取引相手が保有する15桁のコード(注3)を確認し、同コードをルール(詳細はリーフレットを参照)に従って12桁のコードに変換し、変換したコードを輸出入申告の際に日本の電子通関システムNACCSの海外仕出人・仕向人コード欄に入力することで、相互承認の便益を受けることができる。相互承認の利用方法に関して不明な点は、日本の各税関のAEO担当に問い合わせることができる。

中国で相互承認実施の対象となるのは高級認証企業

中国税関は、企業を信用状況に基づいて認証企業(AEOに相当)、一般信用企業、信用喪失企業に分類・認定しており、そのうち、認証企業は各基準(内部統制、財務状況、コンプライアンス、貿易安全)の達成度によって高級認証企業と一般認証企業に分類・認定される(注4)。中国税関の公告によると、今回の日中AEO相互承認は高級認証企業に適用される。「中国貿易新聞網」の2018年8月5日付記事によると、高級認証企業は約3,100社で、中国の輸出入企業総数の1%にも満たないが、貿易総額の3割以上を占めるとされる。

中国と輸出入を行う日本企業や、中国で高級認証を取得している日系企業にとっては、今回公表された方法に基づいてAEO相互承認を利用することで、通関にかかるリードタイムの短縮や予見可能性の向上などのメリットを享受できると見込まれる。

(注1)AEO制度とは、貨物のセキュリティー管理と法令順守の体制が整備された事業者に対し、税関が承認・認定し、税関手続の緩和・簡素化策を提供する制度を指す。世界税関機構(WCO)により国際的な枠組みとして採択されており、現在、70以上の国・地域に導入されている。AEOの相互承認とは、それぞれの国が認定したAEO事業者に対し、相互に税関手続き上の便益を与えることを認めるもの(日本の税関のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。

(注2)AEO輸出入者名、仕出(向)人名、貨物の内容、中国での申告内容など。

(注3)同コードは、“AEOCN”の英字5文字と中国税関に登録した10桁の企業コードから構成される。

(注4)中国税関による企業の分類・認定については、「中国税関企業信用管理弁法(2018年5月1日施行、税関総署令第237号)」「税関認証企業標準(2019年1月1日施行)」および関連公告で詳細が規定されている。企業の信用格付けと税関登録コードは、中国税関総署のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表されており、会社名(中国簡体字)から検索ができる。

(小宮昇平)

(中国、日本)

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