ラマダン開始でテロ警戒強まる、日系企業は駐在員の国外退避も

(スリランカ)

コロンボ発、アジア大洋州課

2019年05月07日

同時爆破テロ事件が4月21日に発生したスリランカで、5月7日から断食月(ラマダン)が始まった。ラマダン期間中にはテロの発生率が世界的に高まる傾向にあることから、在スリランカ日本大使館は、宗教施設や人が多く集まる場所は避けるよう、在留邦人に対してあらためて注意喚起を行うなど、テロへの警戒が一段と強まっている。コロンボ市内では5月6日夕方から、コーランを大音量で読み上げる街宣車が巡回するようになっており、イスラム教の宗教色が強まっている。

スリランカ進出日系企業の勤務体制の正常化には、時間がかかりそうだ。企業の所在地や業態によって対応は異なるものの、駐在員とその家族を国外退避としている企業も複数見受けられる。なお、現地の公立学校やインターナショナルスクールは当初、5月6日から再開するとされていたが、政府は休校期間を1週間延長し、5月13日から再開すると発表した。これを受けて、日本人学校も同様の措置をとっている。

国内情勢には不安が残る。コロンボ近郊のネゴンボ(4月21日爆破テロがあった街)では5月6日、イスラム教徒と一般人の間で衝突があり、政府は急きょ、ネゴンボ周辺区に外出禁止令(6日午後8時半~7日午前7時)を発令した。現地報道によれば、イスラム教徒が周辺や隣人から嫌がらせを受ける、報復を恐れるイスラム教徒がモスクにとどまって生活する、といった事例が報告されている。宗教対立を発端に社会不安が増幅することは、テロ犯の思うつぼとして、政府は市民に冷静な対応をするよう呼び掛けている。

(糸長真知、渡邉敬士)

(スリランカ)

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