通貨金融庁、外貨準備高450億Sドルを政府投資ファンドへ移管

(シンガポール)

シンガポール発

2019年05月14日

シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は5月8日、MASが管理・運用する外貨準備高のうち、450億シンガポール・ドル(約3兆6,000億円、Sドル、1Sドル=約80円)を、政府系投資ファンドのGIC(旧称:シンガポール政府投資公社)に移管すると発表した。5月中にも実施する。

MASは金融政策の手段として政策金利を設定せず、代わりに毎年4月と10月にSドルの為替変動幅の見直しを実施。Sドルの為替レートを一定の許容変動幅内に収めるため、外貨準備高を用いて為替市場に介入している。財務省管轄下にあるGICは、政府準備金を海外に限定して株式や債券、不動産などに投資し、長期運用している政府系投資ファンドだ。

外貨準備高は4月時点で4,040億Sドル。MASによると、金融政策を実施し金融の安定化を図る上で適正な外貨準備高の水準はGDPの65%以上だとしている。現在はGDPの82%相当額に達しており、今回、「より長期的に投資し、高いリターンが得られるよう」、GICに一部を移管するとしている。

一方、MASは為替介入に関する情報公開をさらに進めるため、過去6カ月の介入情報を開示すると発表した。開示するのは、為替介入のために実施した外貨購入の6カ月間の実績で、さらに6カ月を経た後に公開する。2019年下半期の実績から2020年7月以降に開示する予定。

(本田智津絵、安野亮太)

(シンガポール)

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