2020年までにキャッシュレス取引を28%に引き上げ、デジタルエコノミー化を推進

(サウジアラビア)

リヤド発

2019年05月13日

サウジアラビアでは、国境を越えたデジタル貿易の活性化を見越し、政府サービスの電子化や生活、ビジネス面のキャッシュレス・インフラの整備など、サービスのデジタル化に力を入れている。

これらは、国家改革計画「ビジョン2030」の方向性をより具体的かつ詳細に定めた「Vision Realization Program」の中でも言及されている。プログラムの1つの金融分野開発プログラム(Financial Sector Development Program、2018年6月発表)では、「キャッシュレス取引の割合を2016年の18%から2020年までに28%に引き上げること」を具体的な目標に設定し、2018年10月に公表された国家変容プログラム(National Transformation Program)では、「非石油部門GDPに占めるデジタルエコノミーの割合を2016年の2%から2020年に3%に引き上げること」を目標に定めている。

サウジアラビアでは1990年代後半から、中央銀行に当たるサウジアラビア通貨庁(SAMA)により、キャッシュレス取引の導入が進められてきた。主要なシステムとしては、2004年に導入された政府機関などによる電子請求書発行と、オンライン決済システムSADAD(公共料金支払い、サウジアラビア航空支払い、運転免許証・居住証など各種身分証明書支払いなど)で、請求する側、支払う側双方のコストが大幅に削減されることとなった。

また、POS端末によるキャッシュレス決済を可能にするmadaシステムも既に国内に広く浸透している。現在、システムに加入する銀行の口座保有者は、小規模個人型商店などを除き、街中のほとんどの大型店舗や飲食店でmadaデビットカードによるカード決済が可能だ。100リヤル(約3,000円、1リヤル=約30円)以下の購入時には、カードをかざすだけで、暗証番号さえ求められないことも多々ある。

サウジアラビアの各銀行間はmadaシステムでつながれており、顧客がシステムに加盟しているどの銀行のATMで現金を引き出しても、手数料がかからない仕組みを提供している。

2018年4月1日からは、madaカードによる電子商取引時のオンライン決済が解禁されたことで、POS端末での支払いに加え、消費者の利便性がさらに高まった。

(柴田美穂)

(サウジアラビア)

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