シンガポール独自開発の新品種米、国際展開を視野

(シンガポール)

シンガポール発

2019年05月28日

シンガポールの公的研究機関、テマセク生命科学研究所(TLL)は5月16日、シンガポール知的財産庁(IPOS)から「テマセク米(Temasek Rice)」の植物品種保護(PVP)の認可を受けた。

テマセク米は2016年、TLLによる研究と品種改良の結果、同国で初めて開発・生産されたコメの品種で、遺伝子組み換えでない高品質のコメとして流通している。また、暑さや干ばつ、洪水などの厳しい気候条件に耐え、より多く生産できることも特長だ。

PVPの認可により、TLLはテマセク米の生産、販売、輸出入に係る25年間の独占的な運営が可能となる。また、同品種の開発技術の特許保護および同ブランドの商標保護がされることにより、国外市場への流通拡大の後押しにつながる。

IPOSのダレン・タン長官は「PVPはまだあまり浸透していないものの、アグリ技術を活用する企業や農家が手掛ける新しい植物育種を発展させる」とし、同分野において、シンガポールが他国マーケットへ進出するハブとなることに期待を寄せた。

食品の生産・加工に対する新しいイノベーションにより、世界全体で食品およびアグリ技術分野は急速に成長している。シンガポールの同分野への投資額も2018年、8,400万米ドルに達し、前年比で82%増加した。

シンガポール政府も、食品およびアグリ技術分野におけるイノベーションを重要視しており、2016~2020年のR&D(研究開発)5カ年計画「リサーチ・イノベーション・エンタープライズ2020計画(RIE2020)」の中間見直しで、食料生産に1億4,400万Sドル(約113億7,600万円、1Sドル=約79円)を振りむけている(2019年4月3日記事参照)。

(安野亮太)

(シンガポール)

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