ACEA、欧州市場での電気自動車シェアと所得水準の相関性指摘

(EU、欧州)

ブリュッセル発

2019年05月10日

欧州自動車工業会(ACEA)は5月9日、欧州各国の電気自動車(ECV)販売シェアに関する統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。2018年(通年)の欧州・自動車販売(登録)データに基づき、国民1人当たりGDP水準の低い国において電気自動車シェアが伸び悩む傾向があることを明らかにした。

欧州でも約半数の国のECVシェアは1%未満

ACEAによれば、電気自動車市場の拡大が続く欧州26カ国(EU28カ国中、データ非公表のキプロス、クロアチア、ルクセンブルク、マルタを除く24カ国とスイス、ノルウェー)においても、ECVシェアが1%に満たない国が約半数を占める。ECVシェアが1%に満たない12カ国は国民1人当たりGDPが2万9,000ユーロ未満で、ポーランド(0.2%)、スロバキア(0.3%)、チェコ(0.4%)、リトアニア(0.4%)など中・東欧諸国が目立つが、ギリシャ(0.3%)、イタリア(0.5%)、スペイン(0.9%)など南欧諸国も含まれている。

一方でACEAは、ECVシェアが3.5%を超える国は、国民1人当たりGDPが4万2,000ユーロ以上と分析する。中でもECVシェアが49.1%に達したノルウェーは、電気自動車に対する手厚い優遇税制などで知られるが、同国の国民1人当たりGDPは7万3,200ユーロと高い。ECVシェアでこれに続くのは、スウェーデン(8.0%、4万7,900ユーロ)、オランダ(6.7%、4万4,600ユーロ)、フィンランド(4.7%、4万2,200ユーロ)で、いずれも所得水準との相関性が認められる。

ただ、ECVシェアと所得水準の相関関係は、必ずしも全ての国で明確ではない。スイス(3.2%、7万4,300ユーロ)やアイルランド(1.6%、6万3,400ユーロ)など所得水準が高い割にECVシェアが低い国がある。他方、ECVシェアが1%を上回る14カ国の中で唯一、国民1人当たりGDPが2万9,000ユーロ未満のポルトガル(3.4%、1万9,500ユーロ)のような国もある。

このほか、ECVの販売台数でみると、ドイツ(2.0%、4万1,000ユーロ)が6万7,658台と最大で、これに英国(2.5%、3万7,600ユーロ)の5万9,947台、フランス(2.1%、3万6,200ユーロ)の4万5,623台が続く。こうした大国でのECV普及状況を反映し、2018年のEU全体での自動車登録台数に占めるECVシェアは2.0%となった。

(前田篤穂)

(EU、欧州)

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