自動車への間接税払い戻し率を再度引き上げ、輸出回復狙う

(アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイ)

ブエノスアイレス発

2019年05月13日

アルゼンチン政府は5月8日、政令第338/2019号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを官報公示し、メルコスール域内に向けて輸出する自動車に対する間接税払い戻し率を5月9日から見直すことを発表した。払い戻し率はこれまでの2%から6.5%になる(注)。

政府は2018年来、財政収支改善の立場から払い戻し率を引き下げていた。同年8月に政令第768/2018号を公布し、輸出品の生産から販売にかかった間接税を輸出者に払い戻す「レインテグロ(Reintegro)」制度を改定し、約6,600品目の払い戻し率の引き下げを決定した(2018年8月23日記事参照)。自動車については、メルコスール域外向けの輸出は6.5%のまま据え置かれたものの、主要輸出先であるブラジルを含むメルコスール域内向けの輸出は2%に引き下げられていた。

今回の決定の背景には、その後のアルゼンチン自動車製造業者協会(ADEFA)を中心とした自動車業界の度重なる要望があったことに加え、アルゼンチン経済の低迷に起因する自動車産業の落ち込みがある。国内では、販売、生産ともに2018年半ばに落ち込んでから回復の兆しが見えず、現地で生産するメーカーが生産調整の計画を立てているとされる。また、アルゼンチンで生産される自動車の約6割は輸出向けで、その7割がメルコスール域内向けとなる中、税還付による産業競争力の強化が避けられなくなったともみられる。

今回の発表を受け、ダンテ・シカ生産労働相は輸出の復活と生産活動の活性化に対する期待を示している。

(注)対象NCMコードは政令参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(紀井寿雄)

(アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイ)

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