MTI、2019年GDP成長率予測を1.5~2.5%に下方修正

(シンガポール)

シンガポール発

2019年05月28日

シンガポール貿易産業省(MTI)は5月21日、2019年通年の実質GDP成長率の予測を「前年比1.5~2.5%」と、これまでの予測幅の「1.5~3.5%」(2018年11月26日記事参照)から下方修正した。

下方修正の理由について、同省は「世界経済の見通しが引き続き、不透明感と下降リスクに覆われている」と指摘。そのリスク要因として、(1)米中貿易摩擦のさらなる激化、(2)米国の対中制裁による中国経済成長の想定以上の減速、(3)英国のEU離脱の延期による英国やEUの消費、ビジネスのセンチメント(心理)への影響、を挙げた。

その上で、MTIはシンガポール国内の経済について、外部需要に影響を受ける主要セクターが2019年に減速する見通しだとしている。まず、製造業の中でも、エレクロトニクス部門および精密エンジニアリング部門が、世界のエレクトロニクス需要の予測を超える下落に加え、米中貿易摩擦に伴う先行き不透明感に直面しているとする。さらに、卸売業および輸送・倉庫業など外部需要に左右されるサービス部門の成長も鈍化する見通しだ。ただ、情報通信部門はIT、デジタルソリューション需要に支えられ、引き続き健全なほか、教育、ヘルスケア・社会サービスも堅調で、建設部門も引き続き回復基調にあるとしている。

第1四半期のGDP成長率、過去10年間で最低レベルに

MTIの発表によると、2019年第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比1.2%(改定値)だった(表参照)。第1四半期の成長率は、前年同期比ベースで2009年第2四半期以来の最低水準となった。

表 シンガポールの実質GDP成長率の推移(2019年5月21日発表) 

また、第1四半期のGDPの前期比年率では、3.8%成長した。産業別にみると、製造業がマイナス7.1%と大きく落ち込んだものの、建設部門は公共・民間の建設工事の増加により14.0%、サービス部門も5.5%の成長と堅調に推移した。

(安野亮太)

(シンガポール)

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