2018年度の外国投資、小規模投資が増加し件数は過去最高

(ミャンマー)

ヤンゴン発

2019年05月10日

ミャンマー投資企業管理局(DICA)が公表した統計によると、2018年度(注)の外国直接投資認可額〔ティラワ経済特区(SEZ)を除く〕は36億ドルとなり、前年度比36%の減少となったが、件数ベースでは製造業の件数増が寄与し、過去最高の224件となった。業種別では、製造業13億ドル(前年度比26%減)、運輸・通信10億ドル(10%増)、不動産開発3億ドル(73%減)が上位となっている。

製造業については、2017年度にセメント製造や内需向け生活用品製造で1億ドルを超える大規模投資が5件あった一方、2018年度は比較的小規模な縫製業の認可件数が多くなった。不動産開発についても、2017年度は日系企業を中心とする複数の大規模不動産開発案件が認可されたが、2018年度では1億ドル超の認可件数が1件にとどまった。

国・地域別では、シンガポール18億3,000万ドル(26件)、中国5億5,000万ドル(97件)、香港3億1,000万ドル(28件)、英国1億8,000万ドル(5件)、タイ1億6,000万ドル(8件)、日本1億5,000万ドル(11件)の順となっている。

安定的に推移するティラワSEZへの投資

DICAが公表する上記統計には、多くの日系企業が投資するティラワSEZの認可数値が含まれていない。また、シンガポールなど第三国を経由する投資もあるため、DICAから入手した資料を基に、ティラワSEZと第三国経由の投資も反映した実質的な日本企業の投資額を集計した(図参照)。

図 日系企業の実質投資認可額の推移

日本企業の2018年度のミャンマー投資については、日本からの直接投資が1億5,200万ドル、第三国経由の投資が9,700万ドル、ティラワSEZへの投資が1億2,600万ドルで合計3億7,500万ドルが認可された(前年度比75%減)。投資認可額が減少した主因は不動産開発案件の減少によるものだが、ティラワSEZでの製造業認可については安定的に推移している。

なお、ミャンマーの統計上は投資認可額として集計されないが、2018年度から外資(独資または外資合弁)に開放された卸・小売りライセンスを同年度中に取得した企業7社のうち、5社は日系企業だった。2019年度は複数の日系保険会社による投資が見込まれている。

(注)ミャンマーの財政年度は10月~翌年9月に変更されたが、過年度との比較可能性の観点から、2018年4月~2019年3月を2018年度として集計した。

(田原隆秀)

(ミャンマー)

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