大統領選決選投票で与党推薦のペンダロブスキ氏が勝利

(北マケドニア)

ウィーン発

2019年05月10日

5月5日に実施された北マケドニアの大統領選挙決選投票で、与党・社会民主同盟連合(SDSM)推薦のステボ・ペンダロブスキ氏が51.7%の得票率を得て、野党の中道右派の内部マケドニア革命組織・民族統一民主党連合が推薦する大学教授のゴルダナ・シリャノブスカ氏(得票率44.7%)を破った。投票率は、当選に必要な法定得票をわずかに上回る46.7%だった。ペンダロブスキ氏は、連続2期を務めたジョルゲ・イバノフ大統領の後任となる。

4月に実施された第1回投票では、ペンダロブスキ氏はシリャノブスカ氏をわずか4,000票上回る僅差だったが、決選投票では、人口の4分の1を占めるアルバニア人がペンダロブスキ氏支持に回ったことが勝利を決定付けた。

EU、NATO加盟への追い風

56歳のペンダロブスキ氏は、スコピエ大学政治学科の博士課程終了後、外務省調査課長、トライコフスキーおよびツルベンコフスキ両大統領の安全・外交顧問、大学准教授などを経て、同国のNATO加盟に向けてコーディネーターとして尽力した。前任のジョルゲ・イバノフ大統領と異なり、ペンダロブスキ氏は、ギリシャとの間の国名問題の解決(2019年2月に行われた北マケドニアへの国名変更)を支持している。北マケドニアでは大統領職は政治的な影響力が少ないが、EUおよびNATOへの加盟を推進する与党推薦の新大統領就任は、EU加盟への追い風となる。今回の大統領選は、同氏を推薦したSDSMのゾラン・ザーエフ首相の支持率を図る試金石ともなった。

選挙の結果を受けて、同国の政治が安定化し、経済発展に弾みがつくとみられる。ウィーン比較経済研究所(WIIW)によると、輸出と個人消費の拡大を原動力に、2018年のGDP成長率は2.7%に達した(表参照)。外国直接投資の増加によって、2019~2021年の間に北マケドニアの経済は年間3%成長する見通しだ。

表 北マケドニアの主要経済指標

なお、2019年6月にジェトロおよび在北マケドニア日本大使館主催の北マケドニア・ビジネスミッションが派遣され、同国の経済のポテンシャルを探る。投資セミナーや企業視察のほか、首相を含む政府要人出席の下、歓迎行事も行われる予定。

(エッカート・デアシュミット)

(北マケドニア)

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