2018年のカナダの輸出入ともに増加、原油含む鉱物性生産品輸出の伸びが好調

(カナダ)

トロント発

2019年05月21日

カナダ統計局は5月9日、2018年の貿易額(通関ベース、改定値)を発表した。それによると、輸出が前年比7.4%増の5,381億カナダ・ドル(約43兆5,861億円、Cドル、1Cドル=約81円)、輸入は、前年比6.1%増の5,959億Cドルで、いずれも増加した。

輸出では、最大品目の原油を含む鉱物性生産品(構成比26.1%)が1,407億Cドルで、前年比16.8%増と全品目中最大の伸びを示し(表1参照)、化学工業生産品(6.5%)も16.0%増となった。輸出額で2番目の輸出品目である自動車・関連部品(13.9%)は、前年比2.2%減少した。

表1 カナダの品目別輸出額(通関ベース、FOB)

輸出を国・地域別にみると、相手国として最大の米国(構成比74.3%)が前年比6.1%増の3,998億Cドルとなった(表2参照)。対米輸出額の3割を占める鉱物性生産品は、原油価格が上昇したことにより、前年比15.2%増(1,150億Cドル)となった。一方で、対米輸出額の2割を占める自動車・関連部品は5.1%減と振るわなかった。EU28カ国(構成比7.7%)向け輸出は6.2%増の415億Cドルで、英国への金の輸出が15.4%減(1,054億Cドル)だったが、オランダへの鉱物性燃料および鉱物油など(HSコード第27類)の輸出が2.1倍(60億Cドル)になったことなどが寄与した。

表2 カナダの主要国・地域別輸出額(通関ベース、FOB)

日本を含むアジア・大洋州(構成比11.8%)向け輸出は、前年比16.7%増の634億Cドルになった。中国の対米報復関税により、米国の油糧種子の対中輸出が大幅に減少する中で、カナダの油糧種子の対中輸出は23.0%増加(47億Cドル)した。

日本(構成比2.4%)向け輸出は、9.2%増の128億Cドルだった。主要輸出品目のうち、鉱物性生産品が12.7%増加(37億Cドル)したものの、油糧種子は3.0%減少(16億Cドル)した。

輸入は自動車・関連部品が牽引

カナダの輸入額は前述のとおり総額5,959億Cドルで、前年から6.1%増加した。主要輸入品目である自動車・関連部品(構成比16.4%)の1.4%増をはじめとして、全品目で輸入が増加した(表3参照)。中でも、2016年まで減少が続いていた鉱物性生産品や、卑金属の2桁の伸びが際立った。

表3  カナダの品目別輸入額(通関ベース、FOB)

国・地域別では、相手国として最大の米国(構成比51.1%)は5.7%増の3,047億Cドルとなった(表4参照)。対米輸入額で最大の自動車・関連部品は0.1%減少とほぼ横ばい(619億Cドル)だったが、2番目の一般機械が6.4%増(427億Cドル)、3番目の鉱物性生産品が31.9%増加(368億Cドル)した。

表4 カナダの主要国・地域別輸入額(通関ベース、FOB)

日本を含むアジア・大洋州(構成比22.4%)は前年比6.1%増の1.334億Cドルで、同地域最大の輸入相手国である中国からの輸入が6.5%増の756億Cドル、韓国が9.9%増の95億Cドルと堅調に伸びた。中国からの輸入額の3割を占める一般機械と2割の電気機器がそれぞれ8.5%(197億Cドル)、7.0%(145億Cドル)増加したことに加え、韓国からは輸入額の4割を占める自動車・関連部品と2割の電機機器がそれぞれ5.2%(34億Cドル)、61.2%増加(15億Cドル)したことが寄与した。

日本(構成比2.8%)からの輸入は3.9%減の168億Cドルとなった。主要輸入品の自動車・関連部品や一般機械はそれぞれ5.7%(61億Cドル)、3.3%増加(46億Cドル)したものの、2017年に前年比2.3倍に伸びた金が2018年に入り、7割減少(6億Cドル)したことが影響した。

(飯田洋子)

(カナダ)

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