2019年外国直接投資信頼度指数で米国が7年連続で首位、A.T.カーニーが発表

(米国、カナダ、ドイツ、英国、中国、日本)

米州課

2019年05月20日

経営コンサルティング大手A.T.カーニーは5月7日、2019年の外国直接投資信頼度指数(FDI Confidence Index)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今後3年間の有望投資先として、米国は7年連続で首位に選ばれた(表参照)。

表 外国投資信頼度指数(上位10カ国)

同指数は、世界30カ国のリーディング企業の経営幹部500人を対象に、今後3年間の投資先として有望と考えられる国(25カ国)を高・中・低で評価してもらい、加重平均している。

米国は経済成長や市場規模、魅力的な税制などで高い評価

同調査で7年連続首位となった米国は、持続的な経済成長、巨大な市場規模、魅力的な税制、イノベーション力などで引き続き高い評価を得ている。加えて最近は、減税、規制緩和の動きが、投資環境をさらに好転させている。一方、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わって署名された米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)がまだ議会で批准されていないこと、米中貿易摩擦や2018年に強化された対米外国投資委員会(CIFUS)の運用が中国からの対米投資に影を落としている点などが、不安定要素として挙げられた。

ブレグジットによる大きな影響は想定せず

英国は、高い競争力、世界5位の市場規模、イノベーション力の高さなどで評価されており、3年連続で4位を維持した。英国のEU離脱(ブレグジット)により、英国への投資を手控え、また英国外への投資移転を表明する企業が一部あるものの、英国への投資意欲が大きく減退する結果とはなっていない。ブレグジットは既に既定路線となっており、大きなダメージを引き起こすとみる投資家は少なくなっている。むしろ、域外の投資家の多くは、欧州市場を引き続き重要な投資先とみており、英国やEU市場との優先的なアクセスを維持しておきたいとの考えが定着してきている。

中国への見方は分かれる

一方、中国は世界トップ10に入る唯一の新興国だが、2016年以降はランクを徐々に下げ、2019年は7位と過去20年間で最低になった。中国が魅力的な投資先との見方は変わっていないものの、経済の減速、輸出の減少、企業債務の高さ、米中貿易戦争の影響などで、今後の見通しについては見方が分かれた。

3年連続で6位となった日本については、安定した経済に加えて、法人実効税率引き下げ、規制緩和などアベノミクスによる経済政策が評価された。とりわけ、2018年に導入された「規制のサンドボックス制度」により、金融、医療、モビリティーなど産業分野におけるイノベーションのさらなる創出が可能となっている点が指摘された。

(木村誠)

(米国、カナダ、ドイツ、英国、中国、日本)

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