帝人とGMの共同開発素材、自動車へ世界初の量産

(米国)

シカゴ発

2019年05月10日

帝人(大阪府)の5月7日の発表によれば、帝人とゼネラルモーターズ(GM)が共同開発した熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP、注1)がGMの車両に利用されることになった。GMが2019年夏から市場展開を開始するピックアップトラック「GMCシエラ・デナリ1500」および「GMCシエラAT4 1500」のピックアップボックス(荷台)「カーボン・プロ」に使用する。CFRTPが量産自動車の構造部材に採用されるのは、世界初となる。

インディアナ州北東部ハンティントン市の工場で

量産開始に先立ち、4月24日、生産拠点となるインディアナ州北東部ハンティントン市のコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(CSP、注2)の工場において、GMのピックアップトラックのエグゼクティブチーフエンジニアであるティム・ヘリック氏によるメディアツアーが行われ、米国メディア約20社が参加した。

CSPは、帝人が2017年1月に8億2,500万ドルで買収した。CSPハンティントン工場に駐在中のマニュファクチュアリングエンジニアの佐治敏文氏によると、帝人によるCSPの買収は「お互いを補完し、強みを高め合う関係」とのことだ。同工場が所在するハンティントン市のブルックス・フェターズ市長は「当市において、新たな技術を開く日本企業と米国企業のコラボレーションがみられることは大変光栄」とコメントした。

製造業の集積地である米国中西部において、日本の素材メーカーが米国企業との連携を深めながら進める新たな挑戦に注目が集まる。

(注1)熱可逆性樹脂と炭素繊維との複合材で、短時間での成形が可能。また、鉄に比べて軽量、高強度などの特徴を持つ。

(注2)本社はミシガン州アーバンヒルズ市。自動車部品メーカーとして50年以上の歴史を持つ。

(橋本翼)

(米国)

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