中銀が為替介入方針を変更、為替バンド内での介入認める

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年05月08日

アルゼンチン中央銀行は4月29日、金融政策委員会(COPOM)を開き、2018年9月から続けてきた為替介入方針を変更することを同委員会メンバーの全会一致で決定したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

今回の決定は、これまで上限値51.45ペソ、下限値39.75ペソとする対ドルレートの為替バンド(Zona de no intervención)内における為替非介入をやめ、同バンド内でも為替介入を行えることとした。また、為替バンドの上限に達しなくても必要に応じて随時介入を行うことができ、上限値を超えた場合には1日当たり2億5,000万ドルの介入を行えることとしている。

ギド・サンドレリス中銀総裁の就任に合わせるように始まった為替バンド制だったが、制度開始直後から年末にかけてバンドの下限をうかがうような為替の動きを見せ、一時は為替の安定を取り戻したかに見えた。ところが、2018年に続き、第1四半期(1~3月)における消費者物価指数の高止まりが国内外から現政権への先行き不安を醸成する結果につながり、為替レートもペソ安基調に転じている。

政府はインフレ退治のためには通貨の安定が欠かせないとの立場から、為替の安定を重点課題の1つにしているものの、4月16日に為替バンドの上限と下限を2019年末まで動かさないと発表した矢先の今回の発表には、マクリ政権が直面する経済の課題に対応できているのかという不安を与えることにもなっている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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