2018年度の貿易赤字、過去最大の1,760億ドルに

(インド)

チェンナイ発

2019年05月10日

インド商工省は4月15日、2018年度(2018年4月~2019年3月)の貿易統計(速報値)を発表した。輸出額は3,310億ドルで前年度比9.1%増、輸入額は5,074億ドルで前年度比9.0%増となった(図参照)。輸出額は2年連続で3,000億ドルを突破したものの、政府が当初掲げていた年間目標の3,500億ドルには届かなかった。輸入額は国際的な原油価格の高騰などを背景に500億ドル近く増加。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は過去最大の1,764億ドルの赤字となり、前年度の1,568億ドルに比べ赤字額が12.5%拡大した。

インド経済モニタリングセンター(CMIE)によると、輸出額の上位2品目である石油製品、宝石・宝飾品以外の品目の輸出額は、2,429億ドルで前年度比8.2%増加した(注)。最大の輸入品目である原油・石油製品の輸入額は1,408億ドルで、前年度比29.5%増加し、原油・石油製品以外の輸入額も3,680億ドルで、前年度比3.1%増加した。

3月期輸出額は前年同月比11.0%増

インド商工省が同時に発表した3月の貿易統計では、輸出額が326億ドルで前年同月比11.0%増、輸入額が434億ドルで前年同月比1.4%増となった。貿易収支は109億ドルの赤字で、2018年3月の137億ドルから20.4%縮小した。

図  インドにおける輸出入額の推移

インド経済モニタリングセンター(CMIE)によると、輸出では、伝統的な輸出品目の石油製品と宝石・宝飾品以外の品目の輸出額は256億ドルで、前年同月比13.6%増加し、輸送機器(前年同月比58.3%増)、医薬品・精製化学品(15.0%増)の伸びが見られた(表1参照)。一方で、鉄金属・非鉄金属が15.3%減、鉄・鋼鉄が10.7%減となった。

表1 インドの主要品目別輸出(通関ベース)

輸入では、最大の輸入品目である原油・石油製品の輸入額が118億ドルで、前年同月比で5.5%増加した(表2参照)。また、原油・石油製品以外の輸入額は317億ドルで横ばい。主な輸入品目では、金・銀が22.5%増と伸びた一方で、通信機器が43.7%減となった。

表2 インドの主要品目別輸入(通関ベース)

保護主義の高まりや世界的な経済停滞の中、インドでは過去最大の年間輸出額に達したことを評価する報道もあるが、拡大する貿易赤字に歯止めをかけるための対策も求められている。さらなる輸出拡大に向け、インド輸出機関連合(FIEO)のガネシュ・クマール・グプタ会長は「与信の拡大や、国内での研究・開発を促す税優遇策などが必要だ」と指摘した(「ファイナンシャル・エクスプレス」紙4月17日)。

(注)本短信における主要品目別分析は、インド経済モニタリングセンター(CMIE)のデータを用いており、商工省発表の貿易統計(速報値)と誤差が生じる。

(榎堀秀耶)

(インド)

ビジネス短信 2b157823fdf7edca