パリ市、新たなカーシェアリング・システム「モビリブ」を導入

(フランス)

パリ発

2019年05月13日

パリ市は5月7日、新たなカーシェアリング・システム「モビリブ」事業を導入すると発表した。モビリブは、特定の駐車スペースで借り受けと返却を行う「ラウンド・トリップ型」カーシェアリングのシステム。パリ市は同サービス用に1,213台分の専用駐車スペースを確保するとし、うち700台分以上が電気自動車(EV)およびプラグイン・ハイブリッド車専用となる。

入札により同事業の運営を受託したのは、フランス企業3社(カーシェア事業者ユビコおよびドライビー、レンタカー大手アダ)と、カナダのカーシェア事業者コミューンオート。これら4社が、EVやプラグイン・ハイブリッド車、クリーンカーや低公害車を使ったカーシェアリングを提供する。5月末までに600台、9月1日には1,213台を投入する予定だ。

パリ市は2018年7月、大幅な累積赤字を抱えたEVカーシェアリング・システム「オートリブ」事業を終了し(2018年6月28日記事参照)、同年9月からルノー、PSA、ダイムラーの自動車メーカー3社による「フリーフローティング型」(路上や公共駐車場などで借り受け・返却が可能)のEVカーシェアリング・システムを導入していた。同システムは、パリ市内での短距離、短時間の利用に適している。

今回新設の「モビリブ」は、これを補完するものとして、パリ市内から郊外へのドライブや郊外の大型量販店への買い物といった、半日~1日がかりの利用に対するパリ市民のニーズに対応する。

パリ市はラウンド・トリップ型のカーシェアリングについて、フランスではこの利用により乗用車1台当たりの走行距離が41%縮小し、利用者の46%が自家用車を手放すとの調査結果を引用。ラウンド・トリップ型のカーシェアリング1台導入当たり7台の自家用車を減らし、6台分の駐車スペースを節約できると試算している。

(山崎あき)

(フランス)

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