中小企業の輸出促進を目的とした輸出税控除策を公示

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年05月20日

アルゼンチン政府は5月7日、政令第280/2019号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよび第335/2019号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを官報公示し、要件を満たした零細中小企業に対して、2018年9月から再導入された輸出税の一部を免除することを発表した(2018年9月5日記事参照)。対象期間は2019年5月8日から2020年12月31日まで。

マウリシオ・マクリ大統領は、2015年12月の政権発足直後に、フェルナンデス前政権時に課税されていた輸出税を一部撤廃するなど、輸出に基づいた外貨収入の増加に取り組んできた。しかし、2018年第2四半期からの金融危機によって外貨準備高が激減したため、国庫歳入確保を目的として、2018年9月から輸出税を再導入した。その一方、足元の経済情勢は厳しいものの、経営に苦慮する中小企業に対しては、政府が一定金額以内の輸出額には輸出税を免除するなどの優遇措置を適用し、中小企業の競争力強化と海外展開に力を入れてきた。

政令によると、対象になるのは工業生産・労働省に登録されており、2018年の輸出実績が5,000万ドル未満の零細中小企業となる。例えば、対象となる零細中小企業による2019年の輸出額が前年の実績を超えた場合、同社は最大60万ドルの輸出税の控除を受けられる。また、対象となる零細中小企業が前年の実績よりも下回った場合、あるいは2019年に初めて輸出実績を上げた場合には、輸出税の上限控除額は30万ドルと定められた。なお、今回対象となる輸出は、財の輸出に限定されており、サービス輸出は含まれない。

今回の決定に対して、ブエノスアイレス市商工連盟(FECOBA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、中小企業にとって今ほど税負担を軽減させた中で事業拡大をすることが必要とされている時はないとして、税控除策が海外における新たなビジネス可能性を高め、国内市場の強化にもつながるものだと好意的に捉えている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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