ゼレンスキー大統領、議会選日程を決定、選挙法改正も図る

(ウクライナ)

欧州ロシアCIS課

2019年05月28日

ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は5月21日、国会に当たる「最高会議」(ベルホブナ・ラダ)の選挙日程について、議員の任期満了前の7月21日に実施する大統領令に署名した。大統領は「現在の最高会議の議席構成に対する国民の支持はわずか4%にすぎず、信用されていない」と述べ、選挙実施を急ぐ意義を強調。議会選挙は2014年10月以来、約5年ぶりに行われる。

ウクライナの議会は「最高会議」のみの一院制で、議席数は450。現在は小選挙区比例代表並立制で、半数の225議席は各政党の得票数に基づく比例代表で選出され、残りの225議席は小選挙区ごとに候補者が獲得した得票数によって選ばれる。比例代表では、小政党の乱立を防ぐため、5%の得票率を超えない政党の当選を排除する阻止条項が導入されている。これに対し、ゼレンスキー大統領は「自身の公約達成のためには、議席構成を抜本的に変える必要がある」とし、完全比例代表制への移行と、阻止条項を3%に引き下げるルールの変更を盛り込んだ選挙法改正案を議会に提出。5月22日の臨時議会で議論されたが、現職議員の支持が得られず、持ち越しとなった(「RBKウクライナ」5月22日)。

議会選挙に向けた各政党支持率をみると、ゼレンスキー大統領の政党「国民の公僕」が最も高い。民間調査会社「ソーシャルモニタリング」センターが5月10日に実施した世論調査結果では、「国民の公僕」が29.5%でトップ。それに、ユーリ・ボイコ元副首相らが率いる野党プラットフォーム「生活」8.1%、ペトロ・ポロシェンコ・ブロック「連帯」(ペトロ・ポロシェンコ前大統領が創始者)7.8%、全ウクライナ連盟「祖国(バティキフシチナ)」(ユリア・ティモシェンコ元首相が党首)6.7%などが続いている。この調査では、「投票しない政党」についても聞いており、「連帯」が43.9%、「祖国」21.7%、「生活」18.8%と、これまでに政権を担ってきた政治家に対する国民の評価は厳しいようだ。

ロシア紙「コメルサント」(5月27日)によると、「国民の公僕」は党首がまだ決まっていない状況だが、ゼレンスキー大統領の個人的な人気を背景に高い支持率を得ている。一方、ライバルとなる「連帯」は現在、「欧州連帯」に党名を変え、ブランド刷新を図っているが、同紙は「汚職をはじめとする過去の悪いスキャンダルイメージを引きずっているため、新たな支持層を獲得しにくい」と評している。

一方、ジェトロによる現地企業へのヒアリング(5月27日)では、ビジネス界からは「まだ新政権の姿勢が見えず、政権運営がしっかりと行われるのか不安」との声も挙がっており、新政権には早期に政策運営への信頼性を確保する必要性が高まっている。

ゼレンスキー大統領は4月21日に行われた大統領選挙の決選投票に勝利し、5月20日に第6代大統領に就任した(2019年5月21日記事参照)。

(齋藤寛、高橋淳)

(ウクライナ)

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