ジョコ大統領、イスラム経済戦略を発表

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年05月22日

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は5月14日、2019~2024年の「シャリア経済マスタープラン」を発表した。イスラム法(シャリア)にのっとった飲食品、ファッション、観光、医薬品・化粧品や金融サービスなどを発展させることを通じ、世界的なシャリア経済国を目指す。2023年に3兆ドル規模に成長するといわれるイスラム経済圏に、世界最大のムスリム人口を有する国として取り組む。

マスタープランは、大統領直轄のシャリア金融国家委員会(KNKS)が作成した。中心的な戦略として、(1)飲食料品、ファッション、観光、メディア(映画など)、医薬品・化粧品、再生可能エネルギーにおける原料・製造・流通・販売をハラールの視点で捉える「ハラール・バリュー・チェーン」の強化、(2)シャリア金融の強化、(3)中小零細企業の参画、(4)電子商取引(eコマース)やフィンテックの活用、の4点を掲げた。

具体的には、地方にハラール・ハブの設置、国家ハラール・ファンドの設置、中小零細企業の教育プログラム実施、ハラール製品専門のeコマース(マーケットプレイス)の設立などを行う。また、2024年までに、国内金融市場におけるシャリア金融のシェアを現在の8.58%から20%まで引き上げ、「The Global Islamic Economy Indicator(GIEI)」(注)で世界5位(現在は10位)になること、などを目指す。

国内の大手スタートアップも協力

ハラール製品専門のeコマースについてKNKSは、インドネシア最大手のマーケットプレイスであるトコペディアとブカラパックの協力を得ることを明らかにした。さらにシャリア金融について、電子決済サービス「リンク・アジャ(Link aja)」(2019年4月16日記事参照)が、マンディリ、BNI、BRIなど国営銀行によるシャリア金融商品のペイメント(支払い)を手掛けることも発表した。

(注)トムソン・ロイターが公表しているイスラム経済の発展度合いや持続性を測る独自の指標で、イスラム経済の6つの主要分野(ハラール食品、イスラム金融、ハラール観光、イスラムファッション、メディアおよび娯楽品、医薬品および化粧品)について、各国の状況を点数化したもの。

(山城武伸)

(インドネシア)

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