国営企業銀行が電子決済サービス事業に参入

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年04月16日

インドネシアで3月、国営銀行4行と通信大手テルコムなどの国営企業が提携し、リンクアジャ(LinkAja)と呼ばれる電子決済サービスを開始した。特別な機材を必要としないQRコード決済で、小規模な事業者にもサービスを広めていく狙い。

インドネシアの電子決済サービス分野ではゴーペイ(Go-pay)やオボ(OVO)が幅広く利用されている。ゴーペイは配車大手ゴジェック(Go-jek、インドネシア)、オボは大手財閥リッポー・グループ(インドネシア)や配車大手グラブ(Grab、シンガポール)などが提供するサービスだ。ゴーペイは配車サービスはじめ、食料品やクリーニング手配、公共料金の支払いも専用アプリから簡単に決済できる。配車サービスが利用可能な都市部を中心にサービスを広げ、現在はコンビニでも入金可能となったため、全土に広がりを見せている。一方で、リンクアジャは、国営石油プルタミナも参加することで、ガソリンや高速道路料金、電車運賃の支払いを可能にするなど、マンディリ銀行幹部によると、「交通関係の決済での利便性を高めることで差別化を図る」計画だ。

インドネシアの電子決済サービスは、フィンテック企業または銀行が提供するものに区分される。4月現在、前者のユーザー数は約1億1,350万人、後者は約6,030万人、1回の取引額の平均は、前者が3万3,000ルピア(約264円、1ルピア=約0.008円)、後者が1万3,000ルピアと報じられている(地元紙「Investor Daily」4月8日)。

2018年の電子決済利用額は47兆1,900億ルピアで、前年比約3.8倍となっており、市場はさらに拡大することが見込まれる。現在、電子決済サービスを提供するフィンテック企業は22社、銀行は12社(同紙)。

(上野渉、スサンティ・ラハユ)

(インドネシア)

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