マクロン大統領、欧州議会選挙敗北も僅差で基盤は強固との見方

(フランス、EU)

パリ発

2019年05月29日

5月26日に実施された欧州議会選挙で、極右の国民連合(RN)が、マクロン大統領が率いる与党の共和国前進を抑え、第1党の地位を維持した(2019年5月28日記事参照)。「極右打倒」の目標を掲げていたマクロン大統領にとり「敗北」を意味する結果となったものの、得票率では共和国前進が22.41%でRN(23.31%)とほぼ肩を並べたことで、マクロン大統領の任期後半に向けた政策運営を強く後押しするとの見方が強い。

5月28日付の「ル・フィガロ」紙は「(得票率が)1ポイントに満たない僅差だったことで、最悪の事態は免れた。大統領は選挙によって、「(反政権運動)黄色いベスト」が6カ月にわたり異議を唱えてきた、正当性を再度確保することができた。就任後半に向け、国内改革を開始する準備は整った」と分析した。

5月27日付の「レゼコー」紙も「マクロン大統領の改革プロジェクトは今回の選挙結果で足止めをくらうことはないだろう」と見通した。共和国前進の得票率が「2017年の大統領選第1回投票におけるマクロン大統領の得票率(24.01%)から1ポイントほど減らした程度にとどまった」ことで、「大統領は支持基盤が堅固なことを確認した」と指摘した。

同紙はまた、「2017年のマクロン大統領就任とともに始まった政界再編が続いている。(それ以前に政権を運営してきた)左派中道の社会党に続き、(今回の選挙で)右派中道の共和党が崩壊した。共和国前進にとっては、2020年3月の市町村選挙に向けた朗報だ。共和国前進とRNの一騎打ちが政界再編の主軸となっており、2022年の大統領選におけるリターンマッチを予兆するものだ」と伝えた。

他方、極右RNの勝利については、「レゼコー」紙(5月27日)が「欧州議会選挙を、マクロン大統領の改革路線の是非を問う国民投票とする選挙キャンペーンが奏功した」とした上で、RNが前回(当時の政党名は「国民戦線」)から得票率を落とした(24.86%から23.31%へ)ことから、「支持基盤の拡大に勢いがみられない」と分析。一方、「ル・フィガロ」紙(5月27日)は「ルペン党首にとり、2017年大統領選における失敗を払拭(ふっしょく)する象徴的な勝利となった」と指摘した。

(山崎あき)

(フランス、EU)

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