欧州議会選挙、極右・国民連合が第1党を維持

(フランス、EU)

パリ発

2019年05月28日

フランス内務省は5月27日、前日に行われた欧州議会選挙の確定結果を発表した。極右の国民連合(RN)の得票率が23.31%となり、大統領が率いる与党・共和国前進の22.41%を抑え、第1党の地位を維持した。投票率は50.12%で前回2014年の42.43%を大きく上回った。

マリーヌ・ルペンRN党首は26日夜、「国民はRNを第1党に選出した。これは(エリートに対する)人民の勝利を意味するものだ」と勝利宣言を行った。今回の結果はマクロン大統領の政策に責任があるとし、大統領に対し「国民議会を解散し総選挙を実施するべきだ」と訴えた。RNの筆頭候補者であるジョルダン・バルデラ氏も「国民は明らかに大統領と彼の政策を拒絶した」「マクロン大統領が支持する(現行の)EUも拒絶された。EUは社会・経済・移民政策を見直すべきだ」と主張した。

共和国前進のナタリー・ロワゾ筆頭候補は26日、「共和国前進は欧州議会で20議席以上を獲得し、欧州議会で新たに結成される中道グループの中で多数派となる」と強調、欧州議会でマクロン大統領のEUプロジェクトを推進していく姿勢を示した。他方、エドアール・フィリップ首相は今回の結果を「謙虚に受け止める」とし、政策の方向性や目標は変えないものの、地方議員や住民、労組代表などと協議をしながら、より民主主義的なアプローチで政策を実施するとした。

マクロン大統領は、共和国前進が第1党になり極右の台頭に歯止めをかけることを目標に掲げていたことから、支持者の間では失望が広がったが、事前の世論調査でRNに大差をつけられるとの予測も出ていただけに、1ポイントの僅差に終わった結果におおむね安堵(あんど)する向きが多い。

獲得議席数でみると、RNが22議席、共和国前進が21議席で1議席差。英国のEU離脱後はRNと共和国前進がともに23議席で同数となる。前回選挙のRN〔当時の政党名は国民戦線(FN)〕の得票率は24.86%、獲得議席数は24だった。

今回の欧州議会選挙では、環境派の欧州エコロジーが13.47%を得票し、右派中道の共和党(8.48%)、極左のフランス不服従(6.31%)、社会党を中心とした左派中道グループ(6.19%)を抑えて第3勢力に躍進。既存政党の衰退を印象づける結果となった。

(山崎あき)

(フランス、EU)

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