日本企業との連携によるインド水産品輸出促進に期待

(インド)

チェンナイ発

2019年04月18日

世界トップクラスの漁業生産量を誇るインド。中でも、アラビア海に面する南部ケララ州は、漁業の盛んな州の1つとして知られている。一方で、同州の現地企業は資金面、技術面で課題を抱えており、日本企業との連携による輸出促進、国内水産業の発展に期待を寄せる。同州コチに本部を構える商工省所管の水産品輸出促進機関〔Marine Products Export Development Authority(MPEDA)〕のラム・モハンマーケティング統括部長に話を聞いた(インタビューは3月14日)。

資本提携と技術移転にニーズ

(問)MPEDAの活動は。

(答)MPEDAはケララ州コチに本部、国内に複数の拠点を持ち、漁業・養殖・水産加工分野の会員企業約1,900社に対して、情報提供や技術訓練などを行っている。

(問)州内会員企業の景況感は。

(答)気候変動や乱獲などを背景に、足元の漁業生産量は減少しているものの、マグロやイカなどは比較的豊富に取れ、国外にも輸出している。日本へは大手外食、食品小売企業に対して、エビなどを輸出している。

(問)州内会員企業が抱える課題は。

(答)主に2つの課題に直面している。1つは資金不足。国内金融機関からの資金借り入れは金利が10%を超える高さで、会員企業は積極的な投資に踏み切れないといった声が聞かれる。もう1つは労働者不足。ケララ州は識字率が94%(2011年国勢調査)と国内で最も高く、他州よりも教育機会に恵まれているが、教育を受けた者が増えれば増えるほど、第一次産業従事者は減ってしまう傾向にある。現在、州内で水産業に従事している者も大多数が比較的教育機会に恵まれない地域の出身であり、労働者不足はもとより、スキル不足も課題の1つになっている。

(問)日本との連携可能性は。

(答)資本提携と技術移転にニーズがある。日本や海外へ水産品を輸出しようとする場合、品質・衛生面で国際基準を満たす必要があるが、会員企業の多くが資金と技術の不足から、対応できていない。例えば、日本企業との合弁や専門家の派遣によって、資金面での協力や技術訓練を享受できれば、国内水産業の発展はもちろん、州の豊富な水産物を生かした日本企業のビジネス拡大にもつながることが期待される。

(問)会員企業のビジネス機会拡大に向けた取り組みは。

(答)2020年2月7~9日の3日間、輸出促進などを目的とした国際水産展示会「インド国際水産ショー(India International Seafood Show、IISS)」をコチで開催する予定。2018年1月末にゴア州で開催された前回のイベントでは、約150社が出展、6,000人以上が来場した。日本からも積極的に参加してほしい。

(榎堀秀耶)

(インド)

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