統一地方選挙、大都市部で与党連合が苦戦
(トルコ)
イスタンブール発
2019年04月04日
トルコで全国の市長を選出する統一地方選挙が3月31日に実施、即日開票された。投票率は84.67%だった。
与党連合の公正発展党(AKP)と民族主義者行動党(MHP)は、大都市広域市30都市のうち15都市で勝利したものの、イスタンブール、アンカラ、イズミールの3大都市では、野党連合の共和人民党(CHP)と改善党(IYI Party)に及ばなかった。野党連合に得票率0.27%の僅差で及ばなかったイスタンブールでは、AKPが高等選挙局に無効票の再集計を申し立てた。これを受け、選挙管理委員会は、イスタンブールの8つの選挙区で得票の再集計を行うと発表した。
エルドアン大統領は選挙後の演説で、「与党連合は大都市広域市の16都市(注1)、これ以外の全国538都市で勝利し、トルコ全国の市長ポストの56%を獲得した」とした上で、「今後4年半はトルコでは選挙がない。すぐに課題を分析し、トルコのために全力を尽くす」と話した。
今回の選挙において、AKPは当選市長数や得票率(44.32%)では最大となり、得票率だけをみると前回の統一地方選挙(2014年、45.50%)や国政選挙(2018年、42.5%)とほぼ同水準だった。与党連合は、イスタンブールではユルドゥルム前国会議長、イズミールではゼイベクチ前経済相の大物候補を立てていたが、人口規模上位6位の県の大都市広域市のうち5つで野党連合に及ばず、人口規模4位のブルサも僅差での勝利となるなど、大都市を中心に苦戦を強いられた。
与党連合のMHPは、得票率が前回統一地方選挙の約半分(7.31%)で、大都市広域市ではマニサのみで勝利となったが、2014年に8人だった広域市以外を含めた市長の数は11人に増えた。
一方、野党連合は、西部大都市以外でも、地中海南部の大都市広域市アダナ、メルシンで与党連合のMHP候補を破ったほか、CHPとしては長年勝利していなかったマルマラ東部ボル、ビレジク、中部クルシェヒル、黒海東部アルダハン、アルトビンでも勝利した。CHPの得票率は、直近の国政選挙や前回の統一地方選挙では20%台だったが、今回は30%を超える支持を集めた。今後、イスタンブールでの勝利が公式に確定した場合、GDPの約6割を占める県の大都市広域市の11つの市長ポストを獲得することとなり、前回の統一地方選挙の6つからほぼ倍増することになる。
クルド系の国民民主主義党(HDP)は、支持基盤となるトルコ南東部と東部地域で3つの大都市広域市、5つの都市で勝利した。
(注1)エルドアン大統領のスピーチの段階で16だったが、後ほどの票の集計により15に減少した。(注2)4月3日時点、イスタンブール市などで無効票の再集計が行われており、選挙結果が変更となる可能性がある。
(エライ・バシュ)
(トルコ)
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