アーダーン首相が初訪中、習国家主席や李首相と会談

(ニュージーランド)

オークランド発

2019年04月10日

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は4月1日、首相就任後初めて中国を公式訪問し、習近平国家主席および李克強首相と首脳会談を行った。当初は、1週間の訪中を予定していたが、3月15日にクライストチャーチで起きたテロ事件への対応などから、実質1日のみの訪問となった。

2国間関係では2018年11月、ニュージーランド国内での第5世代通信規格(5G)導入に際し、同国の情報機関の政府通信保安局(GCSB)が、通信会社スパーク・ニュージーランドの提出した中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)製品の利用申請を却下した、と報じられた。アーダーン首相は李首相との会談において、同決定は安全上の問題があると判断したためで、政治的な理由ではないことを説明した。アーダーン首相は2月18日のメディアインタビューでも、「決して、ファーウェイが今後参入できないわけではない」と回答している。

今回の訪中でアーダーン首相は、中国の「一帯一路」への協力を表明し、「1つの中国政策」をあらためて支持した。また、ニュージーランドがかねて自由貿易協定(FTA)の範囲をサービス産業にも拡大することを期待している中、両国首相は、現行FTAのアップグレード交渉を加速させることを確認した。ニュージーランドは、2008年に先進国としては初めて中国とFTAを締結しており、両国の貿易額は、FTA締結以前の年間約80億ニュージーランド・ドル(約6,000億円、NZドル、1NZドル=約75円)から、直近で年間約300億NZドルへと拡大している。

両首相の立ち会いの下、在中国ニュージーランド大使館と中国側関係機関との間で、(1)科学技術協力に関する覚書、(2)金融分野での2国間対話に関する覚書、(3)農業協力促進における戦略計画、(4)改定二重課税防止協定(DTA)が合意・署名されるとともに、気候変動に関する共同声明も発表し、環境への取り組みを再確認した。

なおアーダーン首相は、李首相との会談後に、習国家主席とも会談し、2021年にオークランドで開催されるAPECへの習国家主席の出席も要請した。

(奥貴史)

(ニュージーランド)

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