IMF理事会、アルゼンチンに108億ドルの融資実行を承認

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年04月17日

IMF理事会は4月5日、アルゼンチン政府への約108億ドルの融資実行を承認した。アルゼンチンへは2018年に総額約563億ドルの融資枠が決定されており、今回の承認によってアルゼンチン政府は累積で約389億ドルの融資を得ることになる。

IMFのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、クリスティーヌ・ラガルド事務局長は、2018年来の金融危機の要因とみられていた経常収支と財政収支の双子の赤字が改善しており、IMFによる融資実行要件(コンディショナリティー)を履行するための政府の歳出削減策や、輸出税の再導入などを含めた財政再建策が次第に実を結びつつあると評価した。景気後退から改善の兆しが見えており、今後数カ月での回復が見込まれるとしている。

一方で、インフレの高止まりが続いていることや、2019年上半期の税収の伸び悩みが見られることから、緊縮財政への継続した取り組みが2019年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の目標である対GDP比で0%達成のカギになるとの見方を示した。

3月28日にアルゼンチンの国家統計センサス局(INDEC)が2018年下半期の貧困率を前期比から4.7%増となる32.0%と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)したが、ラガルド事務局長は、低所得者層が景気後退や高インフレの影響を受けやすいとして、継続的なセーフティーネットの改善や予算の充当が求められるとも指摘した。

IMFは4月9日に発表した最新の世界経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、アルゼンチンの2019年の実質GDP成長率はマイナス1.2%にとどまるとし、2年連続のマイナス成長になるとの見通しとなっている。2020年は2.2%まで回復するとしている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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