連邦政府主導の専門者会議、EV普及に向けた提言を採択

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2019年04月10日

ドイツ連邦政府主導の専門者会議「国家プラットフォーム 未来のモビリティ(NPM)」(注1)は、3月29日に第3回の協議会を開催し、未来の持続可能なモビリティに関する勧告を採択外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。また同日付けで、同協議会が構成する6のワーキンググループ(WG、注2)のうち、2つのWGから報告書が公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされている。

ドイツは2030年までに、1990年比で55%、交通分野に限ると40~42%の温室効果ガスの排出削減を目標としている。NPMのWG1「交通分野における環境保護」は、報告書の中で温室効果ガスの削減が見込まれる分野として、(1)乗用車および貨物車両における動力源の転換、(2)乗用車および貨物車両における燃費のさらなる向上、(3)再生可能な動力用燃料への転換、(4)鉄道・バス・自転車・歩行のためのシステム整備、(5)鉄道貨物輸送および域内での船舶利用の強化、(6)デジタル化の推進、の6つを挙げ、各分野の温室効果ガス削減値の具体的な分析結果などを示した。

また、WG5「輸送ネットワークとエネルギーネットワークの結合・セクター間連携」は、今回発表した2つの報告書の中で、電気自動車(EV)の普及に必要な条件として、充電インフラのさらなる拡大の必要性を指摘した。同報告書では、EVの充電は85%が自宅や職場でされることを踏まえ、賃貸契約や不動産所有権の関係で、進まない個人や企業による充電スタンドの設置を円滑にするための関連法の改正や、公的部門からの資金的支援が必要だと述べている。これらの議論を受け、アンドレアス・ショイヤー交通・デジタルインフラ相は国内メディアに対し、民間セクターによる充電スタンド設置支援のため2020年予算に10億ユーロの予算を追加で要求をするとコメントしたと主要紙が報じている。

これらの動きに、産業界も前向きな反応を示している。連邦エネルギー・水道事業連合会(BDEW)のシュテファン・カプフェラー会長は3月29日、ショイヤー氏の発言を歓迎する声明を発表した。一方、同会長も現行の不動産関連の法的枠組みの課題を指摘し、「集合住宅や職場などにおける充電スタンドの設置には多くの法的な障壁があるため、住居・オフィスの賃貸や所有に関する法律の適正化が必須」とした。また、同会長は声明の中で、環境対応車を社用車として購入した場合の税制優遇の延長についても、さらなるEVの拡大に向けて必要不可欠だと指摘している。

(注1)政治や民間セクター、産業団体、研究機関、非政府組織の専門家により構成される。持続可能で環境や気候に優しく、競争力のあるモビリティ社会の実現のため、政府に対する政策提言などを行う。議長は、ドイツ技術科学アカデミー(acatech)のヘニング・カガーマン教授。

(注2)1.交通分野における環境保護、2.代替燃料・駆動、3.交通のデジタル化、4.蓄電池や資源などの確保と人材開発などによる生産拠点の保持、5.輸送ネットワークとエネルギーネットワークの結合・セクター間連携、6.標準・基準・認証の6つからなる。

(ベアナデット・マイヤー、森悠介)

(ドイツ)

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