欧州化学品庁、化学品の登録移管窓口をEU離脱日まで維持

(英国)

ロンドン発

2019年04月01日

欧州化学品庁(ECHA)は、英国のEU離脱(ブレグジット)問題で、合意のないままの離脱(ノー・ディール)に備え、在英国企業などによる化学品の登録移管を支援する特設サイト「ブレグジット・ウインドー」(3月12日開設)を延期された離脱日(4月12日)まで運営する。

ノー・ディールの場合、在英企業によるECHAの化学品登録はEU市場で無効となるため、EUで引き続き販売するためには、EU域内の企業や「唯一の代理人」への登録の移管手続きが必要となる。ECHAは、在英企業が離脱前までに英国を除くEU加盟国の法人に登録を移管することを勧めている。

ECHAはブレグジット・ウインドーを利用した登録移管のガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表し、11のステップに分けて移管方法を解説している。在英の製造者、輸入者、唯一の代理人がEUで引き続き化学品を販売するには、英国を除くEU加盟国で唯一の代理人を任命するなどの対応が必要となる(2018年10月17日記事参照)。特に、在英の唯一の代理人はREACH規則下での権利を失うため、日本など第三国の企業が英国で唯一の代理人を任命し、EU27カ国に輸出しているような場合は注意が必要だ。離脱そのものが今後延期されるなどして移管をキャンセルする場合は、システム上で移管を「削除(delete」)」、または移管手続きに係る請求を支払わないことで、キャンセルは可能と紹介している。

ノー・ディールでの離脱後、英国とEU双方で化学品を販売する場合、従来どおりのEUの化学品規制のREACHに基づいた登録と、英国版REACHへの登録が必要となる。英国安全衛生庁(HSE)は、ノー・ディールの場合、EUのREACHをそのまま取り込んだ英国版REACHにより運用するとしている(2019年1月25日記事参照)。

(鵜澤聡)

(英国)

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