ノー・ディールに備えたREACH規則対応のガイダンスを公開

(英国、EU)

ロンドン発

2019年01月25日

英国安全衛生庁(HSE)は、EU離脱(ブレグジット)に際し、英国がなんら合意なくEUから離脱する(ノー・ディール)場合の、化学品の登録に関するガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを同庁のウェブサイト上で公表した。英国ではEUからの離脱後に、EUの化学品規制であるREACHの英国版が導入され、英国企業による現行のREACH規則にのっとった既存の登録はそのまま英国版REACH規則に取り入れられる予定だ。

このガイダンスでは、ノー・ディールで離脱した場合であっても、英国企業が英国を除くEU27カ国/欧州経済領域(EEA)市場や英国市場へのアクセスを維持または新たに得るために求められる準備に関する情報を掲載している。ノー・ディールでの離脱の場合、2018年のEU離脱法により、EUのREACH規則は必要な修正が加えられた上で英国国内法として取り入れられ、基本原則は現行のREACH規則と変わらないとしている。離脱後は、英国の規制当局がEUから独立するため、英国・EU27カ国/EEA間で対象となる化学物質などを製造、もしくは輸入するためには、英国とEUそれぞれの当局への登録が必要だ。

ガイダンスでは、英国を拠点としたREACH規則の登録者、英国以外のEU27カ国/EEAで登録された物質を取り扱う英国の川下ユーザー・ディストリビューター、EEA外からの物質を取り扱う英国の輸入者・ディストリビューターなど6つの事業形態に分けて解説している。英国に拠点を置く企業による現行のREACH規則での既存登録は、既得権に基づき英国版REACH規則での登録として認識される。対象企業は既存登録の確認と、当局となるHSEへの補足情報の提出が必要となる。この場合、EU離脱予定日の3月29日から運用開始される新しい英国版REACH-ITシステムのアカウントを開設し、このシステムを通じて登録物質の基礎情報を離脱日から60日以内に、欧州化学品庁(ECHA)に提出したその他の全ての技術情報は2年以内に提出すればよい。英国以外のEU27カ国/EEAで登録された物質の英国の川下ユーザーは、英国版REACH-ITを通じ、物質の基礎情報を離脱日から180日以内に、全ての技術情報を2年以内にHSEへ提供するか、もしくは英国を除くEEAのサプライヤーが英国版REACH規則に基づき、英国で唯一の代理人(OR)を任命する。EEA外から物質を輸入している英国の輸入者は、基礎情報を60日以内に、全ての技術情報を2年以内に提出することで英国市場へのアクセスを維持できるとしている。

英国に拠点を置く関連企業が引き続き英国を除くEU27カ国/EEA市場にアクセスするための手続きについては、欧州化学品庁(ECHA)のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照のこと。

(鵜澤聡)

(英国、EU)

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