ボルソナーロ大統領の支持率が低下

(ブラジル)

米州課

2019年04月09日

4月7日付の「フォーリャ・デ・サンパウロ」紙に掲載された民間調査会社ダッタフォーリャの世論調査(4月2~3日に実施)によれば、ボルソナーロ大統領に対し「非常に良い」および「良い」と回答した人の割合は回答者全体(2,086人)の32%にとどまった。一方、「非常に悪い」および「悪い」と回答した割合は30%に上った。

同世論調査をみると、ボルソナーロ大統領を支持しているのは、地域別では中西部や南部で、2018年10月の大統領選挙時に同大統領の支持基盤だった地域だ。また、ボルソナーロ大統領が関係を深めてきたキリスト教福音派(Evangélico)も、その多くが引き続き同大統領を支持している。半面、大統領選挙の決選投票でボルソナーロ大統領と争った、労働者党(PT)のフェルナンド・アダジ氏の支持基盤である北東部は、ボルソナーロ大統領への拒否率が高い。

その要因について、「フォーリャ・デ・サンパウロ」紙では、政権発足時の同政権に対する期待が大きかったものの、いまだ経済回復の兆しがみえない中で失業率が上昇しているため、などとしている。ブラジル地理統計院(IBGE)によれば、2018年12月~2019年2月期の失業率は、前期の11.6%を上回る12.4%まで上昇し、2012年以来の高さとなっている。

2019年1月1日にダッタフォーリャが公表した世論調査では、回答者の65%が新政権に対し「非常に良い」および「良い」と回答しており、期待の高さがうかがえた。マーケットでは、新政権発足直後の1月にはブラジルを代表する株価指数のボベスパ指数が過去最高を記録し、期待先行型との見方もあった。一方、新政権下で最大の課題は財政健全化で、特に構造的な赤字の原因にもなっている社会保障制度改革は必須だが、現在、その改革は先の見えない状況が続いている。ボルソナーロ政権は正念場を迎えている。

(辻本希世)

(ブラジル)

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