現職ジョコ氏、生活・就業支援を目玉に、インドネシア大統領選

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年04月16日

4月17日に投開票されるインドネシア大統領選挙では、現職のジョコ・ウィドド氏が再選を目指す。同氏が目玉公約として掲げるのは、国民生活向上のために、食料品支給、職業訓練、学費支援を行う「3枚のカード」だ(表参照)。これで国民の多くを占める中下層所得者の支持を得る狙いがあるとみられる。宗教指導者を副大統領候補に据え、ムスリム穏健派の支持を取り込みつつ、逃げ切りを図る構えだ。

「コンパス」紙が3月に行った調査によると、ジョコ氏を支持すると答えた有権者は49.2%で、対抗馬で第1野党党首のプラボウォ・スビアント氏(37.4%)との差は11.8ポイントとなり、2018年10月に約20ポイントあった差は徐々に縮まってきた。そうした状況下、ジョコ氏が前面に打ち出しているのが、国民生活向上のための新たな3枚のカードだ。具体的には、(1)恵まれない家庭の食生活改善などに必要な栄養素を含む基礎食品の供給支援、(2)求職者への職業訓練の提供、(3)恵まれない家庭や優れた能力を持つ大学生に対する学費・生活費の支援だ。4月13日に行われた公開討論会で、ジョコ氏はカードの実物サンプルを手に、中下所得層に対してアピールした。

ジョコ氏のキャンペーンの特徴を表すのが、宗教指導者のマアルフ・アミン氏(76歳)を副大統領候補に選んだことだ。2016年のジャカルタ特別州知事選挙の際、ジョコ氏に近いバスキ・プルナマ知事(当時)が選挙キャンペーン中にイスラム教の聖典コーランを冒涜(ぼうとく)する発言をしたとして、大規模な抗議デモが起き、最終的にバスキ氏が落選するという事態が発生した。この騒動を契機に、大統領選挙でも候補者の宗教に対する姿勢が1つの対立軸となっていた。マアルフ氏は国内最大のムスリム団体ナフダトゥル・ウラマ(MU)の指導者で、同団体を中心に票を取り込むと見られる。

表 ジョコ・マアルフ陣営の主な公約

(山城武伸)

(インドネシア)

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