テンセント、ニンテンドースイッチを中国で販売へ

(中国)

広州発

2019年04月25日

広東省文化・旅行庁は4月18日、ゲーム機などの製造・販売に関する審査結果「2019年第1四半期ゲーム・娯楽設備内容審査通過機種目録」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。中国ネット大手の騰訊科技(テンセント)の許可取得製品として、任天堂が製造・販売するゲーム機「ニンテンドースイッチ」およびゲームソフト「NewスーパーマリオブラザーズUデラックス」が掲載された。発表に先立つ4月16日には、テンセントの経営範囲に「ゲーム・娯楽設備の販売」が追加されており、中国では今後、テンセントが任天堂製品を販売するとみられる。

ゲーム機の規制緩和が続く

中国では2000年6月に、文化部などによる「電子ゲーム経営場特別整理に関する意見」に基づき、国内向けのゲーム設備の生産・販売などが禁止された。

その後、2013年に中国(上海)自由貿易試験区でゲーム機の製造・販売が解禁され(2013年9月30日記事参照)、2015年6月には文化部の「内外資企業のゲーム・娯楽設備生産・販売への従事許可に関する通知」(文市函[2015]576号)により同区の制度が全国に拡大し、生産・販売に関する個別審査は各省・市・自治区が行うとされた。

広東省では2016年3月に、広東省文化庁の「ゲーム・娯楽設備内容審査業務規範」(粤文市[2016]56号)が発表され、ゲーム・娯楽設備に関する審査方法の詳細が示された。

ゲーム機の市場シェアはわずか

任天堂は2002年に中国子会社の神遊科技(iQue)を設立し、「ニンテンドー64」をもとにした「iQueplayer」などの販売やオンラインサービスの提供などを行っていた。しかし、2016年末に全ての製品の製造・販売、サービスの提供が終了しており、今回のテンセントの許可取得は中国市場への再参入となる。

2018年の中国におけるゲーム産業の販売額は前年比5.3%増の2,144億4,000万元(約3兆6,455億円、1元=約17円、2018年12月26日記事参照)で世界最大規模とされるが、大半はスマートフォン・パソコン向けゲームが占めている。中国では既にソニー・インタラクティブエンタテインメントの「Play Station」や、マイクロソフトの「X-box」が販売されているが、コンソールゲーム(注)のシェアは中国全体の0.5%にとどまる。ニンテンドースイッチの世界販売台数は2018年12月末時点で3,227万台に達しているが、中国での市場拡大は容易ではないとみられる。

(注)家庭用ゲーム機、携帯用ゲーム機などを用いたゲーム。

(河野円洋)

(中国)

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