キャセイパシフィック航空が格安航空市場に参入、日本向け路線強化へ

(香港)

香港発

2019年04月01日

香港のキャセイパシフィック航空は3月27日、格安航空会社(LCC)の香港エクスプレスを49億3,000万香港ドル(約690億2,000万円、1香港ドル=約14円)で買収すると発表した。2019年末までに全発行済み株式を買い取り、完全子会社化する予定となっている。

キャセイパシフィック航空は「(当社と)香港エクスプレスのビジネスは相互補完関係にあり、この買収はシナジー効果を生む」「香港エクスプレスは、独立した航空会社として運営を継続する」との声明を発表した。これまで距離を置いていた格安航空事業へ一歩踏み出したかたちだ。

2017年における、香港国際空港の旅客数は7,287万人だった。うち、キャセイパシフィック航空(および傘下のキャセイドラゴン航空)の旅客数は3,482万人で、全体の約48%を占めた。また、香港エクスプレスは379万人で5.2%を占めており、今回の買収により、香港国際空港の旅客数の半分以上を、キャセイパシフィックグループが占めることになる。

香港エクスプレスは香港を拠点とする唯一のLCCで、日本にも多くの便が乗り入れている。3月27日付の地元ウェブメディア香港01によると、キャセイパシフィック航空は、日本向けに直行便8路線が就航している。一方、香港エクスプレスは、キャセイパシフィック航空の直行便が就航していない7路線(広島、高松、長崎、熊本、鹿児島、石垣島、宮古島。予定を含む)に就航しており、今回の買収で、日本向け直行便が15路線まで拡大することになる。

キャセイパシフィック航空では、北アジア路線、中でも日本路線の需要が高まっている。香港人の人気観光地である日本、特に日本の地方都市への旅客を取り込むことで、日本市場への攻勢を強めていく。

(渕田裕介)

(香港)

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