eコマース振興を目的に、ドア・ツー・ドアの国際郵便税制を改正

(アルゼンチン)

米州課

2019年04月02日

アルゼンチン政府は3月21日、政令221/2019号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、税関法(法律22415号)を改正した。また、公共歳入連邦管理庁(AFIP)は3月29日、決議4447/2019号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます決議4450/2019号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます公布し、国際郵便に関する税制(同法第557条)と運用を改正した。施行日は、政令の第2条は3月22日、決議4450は3月29日、政令の第1条および決議4447は4月1日。政府は2017年からeコマース取引額の拡大に努めており、今回の一連の改正によって個人間のドア・ツー・ドア取引の拡大に期待するものだ。

個人の小口輸入に税の恩典

政令の第1条第1項b)により、国際郵便を用いた小口通関による無関税輸入上限金額を25ドルから50ドルに引き上げた。無関税の通関は年間上限12回、合計600ドルとなる。ただし、例えば40ドル分の貨物を小口輸入した場合、1回上限の50ドルに達していない分(10ドル分)を次回以降の通関のクレジットとすることはできない。

決議の別添1第1条3項により、50ドルを超える分については、超過分の課税対象額を50%控除することができる。例えば、インボイス上の申告額が120ドルの貨物の場合、50ドル分は免税、超過する70ドルの50%(35ドル分)が課税対象額と見なされる。ただし、これらの税優遇にはアルゼンチン郵便局のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上であらかじめ登録しておく必要がある。

個人輸入可能額の拡大

個人使用を目的として海外から国際郵便を用いて輸入するに当たり、決議4447の第1条により、その上限額が900ドルから3,000ドルに、決議4450の第1条により、1申告当たりの重量上限を20キロから50キロに拡大された。また、アルゼンチンでは輸入の際に輸入許可証の取得が必要な品目が存在し(非自動輸入ライセンス)、2018年9月時点で約800品目が対象となっているが(2018年9月11日記事参照)、決議の別添2第2条3項により、個人輸入の場合、非自動輸入ライセンスは対象外となった。

個人輸出の場合は輸出税免除

アルゼンチンでは2018年9月4日に政令793/2018号が公布され、全ての消費財の輸出に輸出課徴金(輸出税)が課されているが(2018年9月5日記事参照)、政令221/2019号第1条2項により、商用目的ではない個人輸出の場合は、1カ月当たり5,000ドルまでが免税となった。なお、国際郵便ではなく、政府が構築・運営している簡易輸出ポータルサイト「エクスポルタ・シンプレ」を経由した商用輸出の場合は、輸出価額60万ドル(年間)までは輸出税が免除される(2018年10月16日記事参照)。

(志賀大祐)

(アルゼンチン)

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