輸出税の対象品目を削減、課税免除の輸出者も

(アルゼンチン)

米州課

2018年10月16日

アルゼンチン政府は9月27日、政令865/2018号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、政令793/2018号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2018年9月3日付)で制定された輸出課徴金(輸出税)の課税対象品目を削減した。また課税対象とならない例外輸出者を新たに設定した。

政令865/2018号により、年間の輸出額が2,000万ドル未満の輸出者の場合、輸出税の納税期間を60日間繰り延べすることができるようになった。加えて、政府が構築・運営している簡易輸出ポータルサイト「エクスポルタ・シンプレ」を経由した輸出の場合も輸出税が免除される。同サイトは工業生産省(当時)が2017年12月にオープンしたもので、同省および公共歳入連邦管理庁(AFIP)合同決議4049-E号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2017年5月12日付)に準拠し構築された。同決議は中小企業の輸出振興を目的とした簡易輸出制度の創出を規定しているものだ。

輸出税は、主要輸出品目である大豆や同副産物、トウモロコシ、小麦などには30%を超える高税率が適用され、徴収した輸出税は国家歳入に組み込まれていた。マウリシオ・マクリ政権は輸出税を撤廃・削減し、輸出振興政策を取ることで外貨獲得を目指した。

しかし2018年4月以降の急激な通貨下落や外貨準備高の減少により、政府は通貨防衛策としての政策金利の引き上げを行ったものの、まだ十分にその効果はみられない。そのため政府は5月、IMFへ支援を依頼し、6月に500億ドルの融資枠設定で合意した。ただし、同融資においては早期の財政均衡達成が求められていた中、8月に発生したトルコ・リラの急激な切り下げの影響がアルゼンチン・ペソにも及び、ペソも大きく切り下がった。

こうした状況下、9月3日、ニコラス・ドゥホブネ経済相が財政収支の均衡を目的とした「再建パッケージ」を発表した。これは、2019年および2020年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の目標を新たに設定し、2019年はGDP比で0%に、2020年は1.0%の黒字を目指すものだ。同パッケージの一環として政令793/2018号で輸出税の再導入が決定されていた(2018年9月5日記事参照)。

(志賀大祐)

(アルゼンチン)

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