投資優遇採択案件による新規雇用数は大幅減

(チェコ)

プラハ発

2019年04月19日

チェコインベストは4月4日、2018年の投資優遇措置の採択対象プロジェクトについて発表した。それによると、政府は2018年、採択された77企業に対して総額103億4,000万コルナ(約4億1,000万ユーロ)の投資優遇措置の供与を決定した。

採択対象企業による投資総額は17億1,000万ユーロで、前年比2.6%減となった。主要国・地域別でみると、日系企業による投資は1億5,000万ユーロで、ドイツ3億ユーロ、オーストリア2億6,000万ユーロに次いで3番目に多かった(表1参照)。

また、投資による新規雇用の総数は4,746人で、2017年の8,260人に比べて42.5%減と大幅に減少した。日系企業による雇用人数は354人で、ドイツ1,321人、台湾397人に次ぎこれも3番目に多かった。

表1 主要投資国・地域別投資額および雇用人数(2018年)

2018年に採択されたプロジェクトの中で、最も投資額が大きかったのはオランダ企業ファロック・ライティング・システムズ(Varroc Lighting Systems、輸送機器部品)の9,963万ユーロだった。2番目がオーストリアのモンディ(Mondi、木材および製紙業)の9,875万ユーロ、3番目がベルギーのラ・ロレーヌ(La Lorraine、食品)の9,678万ユーロだった。

また雇用人数順でみると、電子機器受託生産を行う台湾企業のフォックスコンが最も多く397人、2番目がドイツのべバスト(Webasto、輸送機器部品)で263人、続いて同じくドイツのバウアー・フォルムシャウムテヒニーク(Baur Formschaumtechnik、ゴムおよびプラスチック部品)が258人を雇用する予定だ

投資優遇採択プロジェクトのうち、10企業が北西部ドイツ国境沿いのウースチー州への投資で、他地域に比べて投資額(3億7,000万ユーロ)および雇用人数(1,009人)ともに最も多い結果となった(表2参照)。チェコは欧州各国と比べて低い失業率を背景とした人手不足が問題となっているが、全国平均の2.2%(2018年12月時点)に対し、ウースチー州は4.6%(2019年3月時点)と、失業率が全国平均よりも高い水準にある。

表2 投資先地域別の投資額および雇用人数(2018年)

日系企業で最も投資額が大きかったのは小糸製作所(輸送機器部品)の6,769万ユーロで、全体の7番目だった。同社は2018年11月に、ウースチー州の工場においてヘッドランプの生産を拡張するため新建屋の建設を開始した。また、AGCがウースチー州で3,082万ユーロ、セントラル硝子が中央部パルドゥビツェ州で3,706万ユーロ、クラレが東部ズリーン州で1,352万ユーロの投資を見込んでいる。

(加藤紗妃)

(チェコ)

ビジネス短信 bf953085c90a4da3