デジタル貿易と農業を議論、日米通商交渉の初会合

(米国、日本)

米州課

2019年04月17日

米国と日本の新たな通商交渉の初会合が、4月15~16日にワシントンで行われた。米国通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表、茂木敏充経済再生担当相らが参加した。

USTRが交渉終了後の4月16日に発表した声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、農業を含む物品貿易およびデジタル貿易における高い基準を確立する必要性について議論された。日米通商交渉では、交渉範囲の設定が1つの焦点になっていた。交渉開始を合意したトランプ大統領と安倍晋三首相の共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、物品以外については「早期に結果を生じ得る重要な分野(サービスを含む)」と一定の制限が示されていた一方で、USTRが2018年12月21日に発表した対日通商交渉目的には、物品やサービスのほか、デジタル貿易や政府調達、知的財産、為替など多くの項目が挙げられていた(2018年12月25日記事参照)。

USTRの声明では、共同声明で定められた貿易に関する成果を達成するための共通の目標を再確認した、とも記載された。先の共同声明では、米国は、米国内の自動車生産や雇用の増加を目的として自動車の市場アクセス交渉を行うと記載されており(2018年9月27日記事参照)、茂木経済再生担当相の記者会見によれば、自動車についても議論された。なお茂木経済再生担当相は、交渉が続く限り、日本は米国の1962年通商拡大法232条(以下、232条)に基づく自動車・同部品に対する追加関税の対象にならないと理解している、とも述べている(ブルームバーグ4月17日)。

USTRの声明では、米国は676億ドルの対日貿易赤字についても問題提起したとも記載された。

米商工会議所会頭「今こそ日本と通商協定を」

米国商工会議所のトーマス・ドナヒュー会頭は4月16日、CNBCへ寄稿し、「今こそ米国と日本が通商協定を結ぶ時」と述べた。同氏は、日本が環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)や日EU経済連携協定(EPA)を発効させて以降、米国の牛肉、豚肉、小麦などが日本市場で苦戦している点を問題視した(注)。同氏はまた、232条に基づく鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税や自動車・同部品へ追加関税を課すという脅威を取り除き、米国は日本などと世界の通商ルールを形成していくべきだ、とも主張した。

(注)共同声明において、日本の農業・林業・水産業の市場アクセスは、日本が過去に結んだEPAで約束された水準が上限になると記載されている。

(赤平大寿)

(米国、日本)

ビジネス短信 bf4c16c69c9662dd