2017年のデジタル経済の規模は1兆3,513億ドル、GDP比6.9%

(米国)

ニューヨーク発

2019年04月18日

米国商務省経済分析局(BEA)は4月4日、米国のデジタル経済の規模外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますについて、2017年時点で1兆3,513億ドル、名目GDP(19兆4,554億ドル)の6.9%を占めたと発表した(注)。1997年(5.9%)以降、名目GDPに占める割合は緩やかに上昇し、2017年の割合はこの20年間で最も大きかった。

また、デジタル経済部門の雇用者数は510万人と、米国全体(1億5,210万人)の3.3%を占めた。

デジタル経済に占めるハードウエアや通信機器の割合が低下

同省は、急速に進化するテクノロジーが米国経済に与える影響をより的確に把握するため、デジタル経済の規模について、2018年3月に、2005~2016年における推計値を初めて発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。商務省は5年ごとにGDP統計の包括改定を行っているが、今回、最近のGDP統計の包括改定(2018年7月)などを反映するとともに、推計期間を1997~2017年に延長した。

デジタル経済の規模を他産業と比較すると、2017年は全21業種中7番目で、専門・科学・技術サービス業(7.4%)と卸売業(6.0%)の中間に位置した。

デジタル経済の内訳をみると、2017年はデジタル・インフラ(ハードウエア・ソフトウエア・通信機器・サポートサービス)が全体の84.6%(1兆1,434億ドル)と大半を占めた一方で、eコマースおよびデジタル・メディアは15.4%(2,078億ドル)となった(図1参照)。後者について、過去20年間における電子取引の拡大やデジタル・コンテンツの充実などを通じて大きく伸びており、2017年は1997年の割合(5.0%)の約3倍となった。

図1  デジタル経済に占める割合

基盤となるデジタル・インフラの内訳構成にも変化がみられる。デジタル経済に占める割合をみると、1997年から2017年にかけて、通信機器やハードウエアが4~6割程度低下した一方で、ソフトウエアやサポートサービスが5割程度上昇し、全体として無形資産化が進展した。

米国経済の成長を支え続けてきたデジタル経済

2017年のデジタル経済の実質成長率は、8.3%となった(図2参照)。米国全体のGDP成長率(2.2%)に対する寄与度は0.55ポイントと、約4分の1を占める。名目GDPに占める割合はわずか6.9%であることからすると、同分野の好調さがうかがえる。

過去20年間の推移をみると、1998~2017年の平均成長率は9.9%で、全体の2.3%を大きく上回っている。デジタル経済は米国全体の成長率を常に上回っており、世界金融危機時(2008~2009年)も、全体がマイナス成長となる中でプラスを維持した。

図2 デジタル経済と米国全体の経済成長率

(注)商務省によると、今回の推計結果には、ライドシェアなどのシェアリング・サービスは含まれていない。こうした取引は、デジタル的にサービス契約が行われる一方で、非デジタル的に送迎サービスを提供するなど、デジタル経済と非デジタル経済が融合した分野とされている。これら取引を推計結果に取り込むためには、取引に占めるデジタル経済の割合を特定する必要があるが、現時点ではデータに制約があることなどから、今後の課題とされている。

(樫葉さくら)

(米国)

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