カナダ3都市の投資コスト比較調査、バンクーバーのBC州での賃金上昇が顕著に

(カナダ)

米州課

2019年04月04日

ジェトロは、2018年12月~2019年1月に北米13都市を対象に投資関連コスト比較調査を実施し、このほど調査結果をウェブサイトで公開した。カナダについては、トロントとバンクーバーのほか、今回は人工知能(AI)の研究開発拠点として注目の高まるモントリオールも調査対象に加わった。

投資関連コストの中で重要なコスト要素である人件費に関し、2018年のカナダ全体の平均時給は26.92カナダ・ドル(約2,261円、Cドル、1Cドル=約84円)となり、前年より0.76Cドル(2.9%)増加した。カナダに進出している日系企業は、経営上の課題(コスト上昇要因)として「労働者の確保」や「賃金(給与・賞与)」を上位に挙げている(2019年2月6日記事参照)。

州別でみると、トロントがあるオンタリオ州が27.36Cドル(0.93Cドル増、3.5%増)で、アルバータ州(30.76Cドル)、サスカチュワン州(27.46Cドル)に次いで3番目に高かった。バンクーバーがあるブリティッシュ・コロンビア(BC)州は26.77Cドル(1.06Cドル増)でそれに続き、伸び率は4.1%と州別で最も高い伸びを示した。モントリオールがあるケベック州の平均時給は25.42Cドル(0.48Cドル増、1.9%増)だった。

モントリオールはエンジニアと中間管理職の賃金が安価

製造業の職種別月額賃金を3都市で比較すると、ワーカー(一般工職)の賃金はトロントが3,307Cドルで最も低く、エンジニア(中堅技術者)と中間管理職(課長クラス)はモントリオールがそれぞれ4,467Cドル、6,115Cドルで最も低かった(図1参照)。前年の数字と比較すると、バンクーバーにおける賃金上昇が顕著で、ワーカーは前年比8.1%増加し、エンジニアも6.8%増となっている。

図1 製造業の都市別職種別賃金(月額)

一方、非製造業では、店舗スタッフ(飲食)はバンクーバーが2,836Cドルで最も低く、店舗スタッフ(アパレル)、スタッフ(営業職)、マネージャー(課長クラス)はモントリオールがそれぞれ3,090Cドル、3,433Cドル、5,609Cドルで最も低かった(図2参照)。

図2 非製造業の都市別職種別賃金(月額)

工業団地や事務所の賃料では、モントリオール、トロント、バンクーバーの順で安くなっている。

(中溝丘)

(カナダ)

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