李首相、ボアオ・アジアフォーラムでさらなる対外開放推進を表明

(中国)

北京発

2019年04月16日

李克強首相は3月28日、海南省ボアオ市で開催されたボアオ・アジアフォーラム年次総会の開幕式に出席し、基調演説を行った。2018年の同フォーラム開幕式では、習近平国家主席が対外開放拡大に関する4つの措置を表明していた(2018年4月12日記事参照)。

外商投資法の関連法規の制定を2019年内に完了

李首相は、演説で対外開放について述べた中で、3月15日に制定された外商投資法(注1)を有効に実施するため、同法の関連法規の制定作業を2019年内に完成させ、2020年1月1日の同法施行と同時に実施すると表明した。既存の法規についても整理を進め、外商投資法と一致しないものについては全て廃止か修正するとした。

外資の市場参入についても、制限緩和を表明した。2019年6月末までに外商投資参入ネガティブリスト、自由貿易試験区外商投資参入ネガティブリスト(注2)の改定を行い、特に付加価値電信業務、医療機関、教育サービス、交通運輸、インフラ、エネルギー資源などの領域で開放を進めるとした。また、ネガティブリストで外資参入が禁止されていない分野については、全て参入可能とするよう徹底するとした。

金融業については、開放が着実に進んでいるとした上で、外商投資企業によるベンチャーキャピタルや投資性公司設立の円滑化、外国投資家による上場企業に対する戦略投資や中国企業に対する合併・買収(M&A)に関する規定の整備のほか、債券市場を開放し、外国投資家が中国債券に円滑に投資し、取引できるようにすることなどを表明した。

また李首相は、演説後に行われた産業界などとの対話の中で、医薬品の審査から市場投入までに要する期間を大幅に短縮するとしたほか、日本企業を含む各国企業とのイノベーション分野における協力を歓迎すると表明した。

同フォーラムには、ラオスのトンルン首相、韓国の李洛淵(イ・ナクヨン)首相、ルクセンブルクのベッテル首相、サントメプリンシペのジョルジュ・ボム・ヘスス首相らが出席した。

(注1)同法の内容は2019年3月20日記事を参照。

(注2)外商投資参入ネガティブリストは、外資企業の参入が禁止・制限されている分野を記載したリストで、自由貿易試験区に所在する外資系企業に対しては、自由貿易試験区外商投資参入ネガティブリストが適用される。

(小宮昇平)

(中国)

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