習国家主席、対外開放拡大のため4つの措置に言及

(中国)

北京発

習近平国家主席は4月10日、海南省で開催されたボアオアジアフォーラム年次総会の講演で、対外開放を拡大するとして、4つの措置に言及した。(1)大幅な市場参入制限の緩和、(2)投資環境のさらなる整備、(3)知的財産権保護の強化、(4)主体的な輸入の拡大だ。

(1)については、2017年11月の中米首脳会談を受けて、財政部が金融分野(銀行、保険、証券)の外資出資比率制限緩和を打ち出していたが、これらを着実に進めることなどを挙げた。製造業では自動車、船舶、航空機などの分野を挙げ、特に自動車についてできるだけ早く外資出資比率制限を緩和するとした。

(2)については、中国の経済・貿易ルールと国際ルールの整合性をより高め、市場をさらに透明化し、財産権保護を強化し、競争を促し独占に反対するなどとした。国家市場監督管理総局の新設など国務院関連部門の調整(2018年3月30日記事参照)に触れ、政府機能をより発揮させるとしたほか、2018年上半期に外商投資ネガティブリストの修正を終えることにも言及した。

(3)については、国家知的財産権局を改組したことに触れ、法執行を完全なものにし、中国企業と外国企業の正常な技術協力を奨励し、在中外資企業の合法的な知的財産権を保護するなどとした。

(4)については、自動車など一部の商品の関税率を引き下げることや(自動車については相当な幅の引き下げを強調)、WTOの政府調達協定(GPA)への加盟プロセスを加速することに言及した。また、先進国に対して、ハイテク製品の対中輸出規制の緩和を呼び掛けたほか、2018年11月に上海市で初めて開催する中国国際輸入博覧会を毎年継続開催していくとして、各国からの参加を呼び掛けた。

今回の習国家主席の講演において、米国が中国に求めているさらなる市場の開放、輸入拡大、知的財産権保護の強化に言及しており、米国との貿易摩擦回避を意識したものとも考えられる。

(宗金建志)

(中国)

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