産業財産庁と産業界、知財制度近代化を協議

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年04月30日

ブラジル産業財産庁(INPI)によると、リアネ・ラージェ特許部長は4月16日、連邦下院議会で連邦議員や民間団体、企業代表者らとブラジルの知的財産制度の近代化について協議を行った。ブラジルの全国工業連盟(CNI)との共催で、出席したジョアン・エミリオ・ゴンサルベル産業政策マネジャーは、ブラジルにおける知的財産の改善に向け、官民が協力することに前向きな姿勢を示した。協議での主なテーマは3つあった。

1つ目に、4月4日に下院で承認され、上院で審議される予定のマドリッド協定の批准に関する2017年付法案第860号が取り上げられた。

ブラジルは以前から、商標の国際登録に関するマドリッド協定の批准を検討していたが、同協定の規定では、商標の審査期間は出願から18カ月以内とされており、これが大きな障壁となっていた。INPIが協定批准に向けて審査期間の要件を順守するよう、さまざまな改善策に取り組んできた結果、2月時点で審査に要している期間は約11カ月となり、さらに短縮できる傾向にあるという。批准がより現実的なものになってきていることから、注目を集めたテーマとなった。

2つ目に、産業界からは、INPI運営の財政的な独立性を認める2015年付法案第3.406号の承認を求める声が上がった。この法案は、INPIが行政サービスの提供によって得た収入の全てをINPIの活動に使用できるようにするものだ。CNIは、特許審査の迅速化には、INPIが独自の予算計画を策定できるようにすることが必要不可欠だと主張している。

3つ目に、模倣品に関する犯罪の厳罰化を目的とした1999年付法案第333号についても取り上げられた。現行法制下では、模倣品を取り扱う行為に対しては軽い処罰しか適用されていないが、同法案により、模倣品を販売する露天や小規模店舗を除き、その製造・流通・輸入に関わる者に対して刑事罰を科すことができるようになる。

(広瀬マルチナ)

(ブラジル)

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